軍用機の型式番号(モデルナンバー)の命名規則について

軍用機の型式番号の命名規則 航空機の技術
出典:USAF(米国空軍)US NAVY(米国海軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

米国の軍用機の型式番号には、例えばF-22ラプターであれば、

  • Fは、Fighter、戦闘機
  • 22は、22番目の戦闘機

という意味があり、命名規則で決まっています。

例外なしというわけではないのですが、ここでは、主な型式番号について説明します。

なお、航空自衛隊も、米国式の命名規則によっています。

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型式番号とは

ここでは、型式番号とよんでいますが、

米国の軍用機の命名規則は、

The Air Force Departmental Publishing Office(AFDPO)

が管理する、以下の文書に書かれています。

DESIGNATING AND NAMING DEFENSE MILITARY AEROSPACE VEHICLES

この文書のMission Design Series(MDS) designation symbolsというのが、命名規則のことです。

以下、付属書3(Attachment 3)の表A3.1を参考にして、米国の軍用機命名規則について、説明します。

標準的な命名規則

下表は、付属書3(Attachment 3)の表A3.1を和訳したものです。

型式番号の基本的なルールは、次のようになります。

  • 最初のアルファベットは、通常1文字か2文字とする。
  • 標準的な航空機は、下表の表の1~3列目のアルファベットを使う。
  • それ以外の航空機は、下表の1~4列目のアルファベットを使う。
  • アルファベットの次の数字は、開発順(シリーズ:F-15は戦闘機の15番目、F-22は戦闘機の22番目など)とする。

 

表 型式名に使う記号

Status Prefix Modified Mission Basic Mission Vehicle Type
e:Digitally Developed

G:Permanently Grounded

J:Special Test (Temporary)

N:Special Test (Permanent)

X:Experimental

Y:Prototype

Z:Planning

A:Attack

C:Transport

D:Director

E:Special Electronic Installation

F:Fighter

H:Search/Rescue/ MEDEVAC

K:Tanker

L:Cold Weather

M:Multi-Mission

O:Observation

P:Patrol

Q:Drone

R:Reconnaissance

S:Anti-Submarine

T:Trainer

U:Utility

V:Staff

W:Weather

A:Attack

B:Bomber

C:Transport

E:Special Electronic Installation

F:Fighter

L:Laser

O:Observation

P:Patrol

R:Reconnaissance

S:Anti-Submarine

T:Trainer

U:Utility

X:Research

D:UAV Control Segment

G:Glider

H:Helicopter

Q:Unmanned Aircraft (UA)

S:Spaceplane

V:VTOL/STOL

Z:Lighter-Than-Air Vehicle

「表 型式名に使う記号」の各列の意味は以下の通りです。

  • 1列目は、その型式の開発の進捗に応じた記号
  • 2列目は、修正されたミッションに応じた記号
  • 3列目は、基本的なミッションに応じた記号
  • 4列目は、乗り物としての種類に応じた記号

以下、型式番号の例を示しますが、命名規則を正確に理解しているわけではなく、実際の型式番号と「表 型式名に使う記号」を比べて、こうではないかという私見であることはご了承ください。

1列目の型式番号を使った例:開発進捗

「表 型式名に使う記号」の1列目は、その型式の開発の進捗に応じた記号で、例えば、F-22ラプターの試作開発機は、YF-22など。

実験機には、Xが使われます。

型式番号を1文字使った例:標準的なミッション

F-15EXイーグルIIF-15Eストライク・イーグルF-16ファイティング・ファルコンF-22ラプターF-35AライトニングIIなどの戦闘機。

C-17グローブマスターIIIは、輸送機。

型式番号を2文字使った例

KC-46Aペガサスは、タンカーのKと輸送のCで、空中給油・輸送機。

EA-18Gグラウラーは、特殊な電子装備を備えたEと攻撃機のAになります。

F/A-18スーパーホーネットは、例外のようにも思いますが、戦闘機のFと攻撃機のAになります。

MQ-9リーパーは、多用途(マルチ・ミッション)のMとビークル・タイプの無人機のQになります。

RQ-4グローバルホークは、偵察のRとビークル・タイプの無人機のQです。

例外的な型式番号

F-35ライトニングIIシリーズは、F-35Aが標準的な空軍機、短距離離陸/垂直着陸可能なF-35B、艦載機タイプがF-35Cですが、ひとくくりで戦闘機のFになっているのは、命名規則はあまり厳密ではないということなのかもしれないと思っています。

爆撃機は、B-1BランサーB-2スピリットはルール通りですが、開発中のB-21レイダーは例外なのかもしれないなと思います。B-52Hストラトフォートレスには、歴史を感じます。

SR-71ブラックバードは、ビークル・タイプのスペース・プレーン(宇宙機)のSと偵察のRと考えています。

F/A-18スーパーホーネットは、YF-17(F-16と正式採用を争ったライバル機)を艦載機にするためにF/A-18レガシー・ホーネットとして採用され、その後、F/A-18スーパー・ホーネットとなっています。

F-117ナイトホークは、戦闘機というよりは攻撃機ですが、世界初のステルス機として秘匿されていたのでFだったり117だったりするのかもしれません。(詳細調べていません。)

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まとめ

米国の軍用機の型式番号には、例えばF-22ラプターであれば、

  • Fは、Fighter、戦闘機
  • 22は、22番目の戦闘機

という意味があり、命名規則で決まっています。

ここでは、例外なしというわけではないのですが、主な型式番号について以下の項目で説明しました。

  • 型式番号とは
  • 標準的な命名規則
    • 1列目の型式番号を使った例:開発進捗
    • 型式番号を1文字使った例:標準的なミッション
    • 型式番号を2文字使った例
    • 例外的な型式番号
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