KC-46Aペガサス:航空自衛隊も導入しているこれからの空中給油機

KC-46Aペガサス 空中給油機
出典:USAF(米国空軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

KC-46Aペガサス(Pegasus)は、航空自衛隊も導入しているこれからの空中給油機です。

空中給油機というとKC-135ストラトタンカーが有名ですが、KC-46Aペガサスは、KC-135ストラトタンカーに比べると、給油、貨物、航空医療搬送能力が向上し、米国空軍だけでなく、米国海軍や海兵隊及び航空自衛隊を含む他国への空中給油支援を担うことになります。

ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報から、KC-46Aペガサス(Pegasus)についてまとめています。

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これからの空中給油機KC-46Aペガサス(Pegasus)とは

KC-46Aペガサス(Pegasus)は、ボーイング767型機をベースにして開発された新しい空中給油・輸送機であり、民間機派生型軍用機です。

下図は、F-15Eストライクイーグルに空中給油するKC-46Aペガサスです。

KC-46Aペガサス(Pegasus)

KC-46 refueling F-15E

図1 KC-46Aペガサス(Pegasus)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

KC-46Aペガサスの主な特徴

KC-46Aペガサスは、空中給油に加え、人員、航空医療搬送、貨物の混載が可能です。

主な空中給油・輸送機としての特徴を列挙します。

  • 最大離陸重量188,240kg、搭載燃料と合わせて最大29,483kgの貨物をパレット積み可能
  • 最大18個の463L貨物パレットを搭載可能
  • シートトラックとオンボード・カーゴ・ハンドリング・システムにより、パレット積みの貨物と人員を様々な組み合わせで混載(同時に運ぶこと)が可能
  • 大型の航空機に必要な燃料を搭載可能

機体性能面でも次の特徴があります。

  • 自己防衛、防御、通信のための様々な機能を備え、戦闘環境下での生存能力(survivability)を高めています。
  • 地上旋回半径が39mであり、標準的な幅45mの滑走路で180度旋回可能なため、小さな飛行場での運用が可能

KC-46Aの空中給油システム

KC-46Aペガサスの最大の特徴と言ってもよいのが、給油ブーム(refueling boom)の操作方法です。

KC-46Aペガサスでは、ブームオペレーターは操縦席後部の操作卓(給油オペレーターステーション)から、遠隔操作により空中給油を行います。

  • 給油オペレーターステーションには、パノラマディスプレイが装備され、翼端から翼端まで状況把握が可能です。
  • 従来の空中給油機では、機体後部からブーム・オペレータが目視で給油ブームを操作して空中給油を行っていました。
  • 給油ブームは、フライ・バイ・ワイヤ制御システムによりコントロールされています。

また、給油ブームとは別に、ホース&ドローグシステムによる給油も可能です。

KC-46Aペガサスは、次の3つの給油方法で運用可能です。

給油能力は、

給油ブーム > センターライン・ドローグ > 給油ポッド

となっています。

  • 給油ブーム(フライングブームともいう)
  • ホース&ドローグ(センターライン・ドローグ)
  • 主翼左右の給油ポッド(WARP:WING AERIAL REFUELING POD)

また、これらを組み合わせて複数機の同時空中給油が可能です。

写真で見るKC-46Aペガサス

KC-46AペガサスをUSAF(米国空軍)のWebサイトの写真を使い説明します。

機体形状

下図は、機体上方からの写真です。

  • KC-46Aペガサスは、2機のエンジンを主翼の下に備えたオーソドックスな設計です。
  • 白い機体は、E-4Bナイトウォッチ(Nightwatch)、米国の空中作戦センター(NAOC: National Airborne Operations Center)
  • 旅客機(ボーイング747-200)ベースのE-4Bナイトウォッチと比べると機体サイズもエンジン数も違いますが、似た形状です。
KC-46Aペガサス:上から

Aerial refueling Test pilots and personnel from the 418th Flight Test Squadron, out of Edwards Air Force Base, California, conducted aerial refueling testing with a KC-46 Pegasus and an E-4B Nightwatch, out of Offutt Air Force Base, Nebraska, in the skies over Southern California, April 4. (Air Force photo by Christian Turner)

図2-1 KC-46Aペガサス:上から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、前方からの写真です。

KC-46Aペガサス:前から

KC-46 Pegasus A KC-46 Pegasus took to the skies for its first flight at Paine Field in Everett, Wa., Sept. 25, 2015. (U.S. Air Force photo/Jet Fabara)

図2-2 KC-46Aペガサス:前から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、横からの写真です。

  • 機体後方下部にあるのが、空中給油に使う給油ブームです。
  • 主翼に給油ポッドがあります。
KC-46Aペガサス:横から

A Boeing KC-46A Pegasus takes off A Boeing KC-46A Pegasus takes off at Yokota Air Base, Japan, Oct. 25, 2018, during a system evaluation. This is the first time the KC-46A visited Japan. The flight is to support an initial evaluation by the USAF of the KC-46A’s integrated mission system suite as well as its ability to conduct worldwide navigation, communication and operation. (U.S. Air Force photo by Yasuo Osakabe)

図2-3 KC-46Aペガサス:横から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、機体下方からの写真です。

  • 機体後方の給油ブームが下がった状態です。
KC-46Aペガサス:下から

Gas and go A KC-46 Pegasus assigned to Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst, N.J. prepares for air refueling during the first mission over the North Atlantic Ocean, Dec. 2, 2021. The KC-46 maintains air refueling edge through the use of both the refueling boom and drogue systems, allowing for simultaneous air refueling of multiple aircraft with wing pods. The KC-46 is designed to refuel allied and coalition aircraft and provide multifunctional support, like passenger and cargo transport along with medical and humanitarian relief. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Ariel Owings)

図2-4 KC-46Aペガサス:下から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

離陸

下図は、離陸時の写真です。

KC-46Aペガサス:離陸

KC-46 The KC-46 Pegasus development program completed its first flight of Engineering, Manufacturing and Development (EMD) aircraft #1 Dec. 28, 2014. The maiden flight took off at 9:29 AM PST from Paine Field in Everett, Washington, and landed at 1:01 PM PST at Boeing Field in Seattle.EMD #1 is a provisioned 767-2C freighter and the critical building block for the KC-46 missionized aerial refueler.

図3 KC-46Aペガサス:離陸

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

着陸

下図は、着陸時の写真です。

  • 機体後方の給油ブームの格納(固定)状態、エンジンの主翼取付位置が分かります。
KC-46Aペガサス:着陸

A KC-46A Pegasus prepares to land A KC-46A Pegasus prepares to land July 28th, 2019 at McConnell Air Force Base, Kan. Two high-bypass turbofans power the KC-46 to takeoff at gross weights up to 415,000 pounds. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Skyler Combs)

図4 KC-46Aペガサス:着陸

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

空中給油システム:給油ブーム

下図は、機体後方下部の給油ブームを延ばしているKC-46Aペガサスの写真です。

KC-46Aペガサス:給油ブーム

Pegasus drogue, hose, boom systems deployed The KC-46A Pegasus deploys the centerline boom for the first time Oct. 9, 2015. The boom is the fastest way to refuel aircraft at 1,200 gallons per minute. (Boeing photo/John D. Parker)

図5 KC-46Aペガサス:給油ブーム(その1)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、機体後方下部から給油ブームを見上げた写真です。

KC-46Aペガサス:給油ブーム(その2)

200106-F-UJ876-2191 A KC-46 Pegasus assigned to the 22nd Air Refueling Wing flies away after being refueled during a refueling training mission over Kansas, Jan. 6, 2020. The training mission allowed 911th Airlift Wing personnel from pilots to boom operators to use the opportunity to sharpen their skills. (U.S. Air Force photo by Joshua J. Seybert)

図5 KC-46Aペガサス:給油ブーム(その2)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

給油ブームも新設計となっていますが、大きく変わったのがその操作方法です。

  • KC-135ストラトタンカーでは、機体後方からブーム・オペレーターが直接目視でコントローラによりフライングブームを操作していました。
  • KC-46Aペガサスでは、ブームオペレーターは、パイロット席の後方の席にいて、遠隔操作によりフライングブームを操作します。

空中給油システム:ドローグ

KC-46Aペガサスは、給油ブームの他に2つの給油ポットを備えています。

給油ブームは、給油先の機体の給油口に差し込む形で給油しますが、KC-46Aペガサスのドローグと呼ばれる部分に差し込んで給油します。

下図は、センターライン・ドローグ・システムです。

  • 給油ブームよりも機体前方に設置されたセンターライン・ドローグが延びています。
KC-46Aペガサス:センターライン・ドローグ

Pegasus drogue, hose, boom systems deployed The KC-46A Pegasus deploys the Centerline Drogue System located on the belly of the fuselage on Oct. 8, 2015. The drogue system is used to refuel probe receiver aircraft. (Boeing photo/John D. Parker)

図6-1 KC-46Aペガサス:センターライン・ドローグ

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、主翼の左右に備える給油ポッドです。

  • 左側の給油ポッドのみ延びています。
KC-46Aペガサス:主翼の給油ポッド

Pegasus drogue, hose, boom systems deployed The KC-46A Pegasus deploys the drogue from the wing aerial refueling pods located on the wing tips Oct. 8, 2015. The drogue systems are used to refuel helicopters along with Navy and Marine Corps aircraft. (Boeing photo/John D. Parker)

図6-2 KC-46Aペガサス:主翼の給油ポッド

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

空中給油いろいろ

KC-46Aペガサスは、様々な機体への空中給油が可能です。

ここでは、以下の機体への空中給油を写真で紹介します。

  • A-10サンダーボルトII
  • F-15Eストライクイーグル
  • F-16ファイティング・ファルコン
  • F/A-18スーパーホーネット
  • B-2スピリット

下図は、A-10サンダーボルトIIへの空中給油です。

  • A-10サンダーボルトIIは、近接航空支援に使われる対地攻撃機です。
KC-46Aペガサス:A-10への空中給油

KC-46 refuels A-10 A KC-46 Pegasus refuels an A-10 Thunderbolt II with 1,500 pounds of fuel July 15, 2016. The mission was the last of all flight tests required for the tanker’s Milestone C production decision. (Boeing photo/John D. Parker)

図7-1 KC-46Aペガサス:A-10への空中給油

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、F-15Eストライクイーグルへの空中給油です。

KC-46Aペガサス:F-15Eへの空中給油

Gunfighters demonstrate air dominance at Checkered Flag 21-1 A 389th Fighter Squadron F-15E Strike Eagle connects to the boom of a KC-46A during Checkered Flag 21-1, Nov. 2, 2020, at Tyndall Air Force Base, Florida. The 366th Fighter Wing refueled for the first time with the KC-46A Pegasus tanker at Checkered Flag 21-1. Checkered Flag is one of the Department of Defense’s largest air-to-air combat exercises. (U.S Air Force photo by Maj. Mark Calendine)

図7-2 KC-46Aペガサス:F-15Eへの空中給油

出典:AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、F-16ファイティング・ファルコンへの空中給油です。

KC-46Aペガサス:F-16への空中給油

The KC-46A Pegasus performs its first-ever aerial refueling The KC-46A Pegasus performs its first-ever aerial refueling Jan. 24, 2016, passing 1,600 pounds of fuel to an F-16 Fighting Falcon. (Boeing photo/Paul Weatherman)

図7-3 KC-46Aペガサス:F-16への空中給油

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、F/A-18スーパーホーネットへの空中給油です。

  • センターライン・ドローグ・システムによる空中給油です。
  • F/A-18スーパーホーネットの空中給油口は、機首右側にあります。
KC-46Aペガサス:F/A-18への空中給油

New Hampshire-based KC-46A aircrew refuel a U.S. Navy F/A-18F Super Hornet off the coast of Maryland, July 1, 2020. This marked the first time the aircrew utilized the KC-46A centerline drogue system to refuel an aircraft. (U.S. Navy photo by Lt. Zach Fisher)

図7-4 KC-46Aペガサス:F/A-18への空中給油

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、B-2スピリットへの空中給油です。

KC-46Aペガサス:B-2への空中給油

KC-46 flies past latest milestone EDWARDS AIR FORCE BASE, Calif. –KC-46 refuels the B-2 for the first time during developmental flight test over Edwards AFB and the Sierra Nevada Mountains on Apr. 23, 2019. (U.S. Air Force photo by Christian Turner)

図7-5 KC-46Aペガサス:B-2への空中給油

出典:EDWARDS AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

KC-46Aペガサスの歴史

KC-46Aペガサスの歴史について説明します。

  • 2011年2月、KC-46Aペガサスの開発開始。
  • 2014年12月、初飛行
  • 2019年1月、米国空軍に初号機納入
  • 2021年10月、航空自衛隊に初号機納入
はかせ
はかせ

空中給油機の開発・運用経験と民間機ベースでの開発なので10年程で開発できたのかもしれません。

フライ・バイ・ワイヤによる遠隔操作の空中給油システムは、技術的なハードルも高かったと推測しています。

KC-46Aペガサスの諸元

米国空軍のWebサイトの情報から主要諸元を下表に示します。

全長 48.5 m
全高 15.5 m
全幅 47.5 m
エンジン
  • P&W製4062エンジン
  • 推力:28,122 kgf (1基当たり)
重量 – kg
最大離陸重量 188,240 kg
速度 – km/h
高度  – m
航続距離  – km
燃料搭載容量 96,297 kg
貨物積載量 29,484 kg
乗員 3名(パイロット、副操縦士、ブーム・オペレーター)

航空医療搬送:基本5名(フライトナース2名、メディカルテクニシャン3名)

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参考リンク

この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • USAF(米国空軍)のKC-46Aペガサス(Pegasus)の紹介ページ

まとめ

KC-46Aペガサス(Pegasus)は、航空自衛隊も導入しているこれからの空中給油機です。

KC-135ストラトタンカーよりも、給油、貨物、航空医療搬送能力が向上しており、米国空軍だけでなく米国海軍や海兵隊及び航空自衛隊を含む他国への空中給油支援を担うことになります。

ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報から、KC-46Aペガサスについて以下の項目で説明しました。

  • これからの空中給油機KC-46Aペガサス(Pegasus)とは
    • KC-46Aペガサスの主な特徴
    • KC-46Aの空中給油システム
  • 写真で見るKC-46Aペガサス
    • 機体形状
    • 離陸
    • 着陸
    • 空中給油システム:給油ブーム
    • 空中給油システム:ドローグ
    • 空中給油いろいろ
  • KC-46Aペガサスの歴史
  • KC-46Aペガサスの諸元
  • 参考リンク
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