CAEによるシミュレーション技術の発展により、実機相当のシミュレーションが使われるようになっています。
第6世代のステルスで全翼機の戦略爆撃機B-21レイダーの開発では、デジタルツインとよばれる、シミュレーションで実機相当の機体を使った設計・開発が行われ、バーチャルな機体が、リアルな部品や実機となり、様々な試験を段階的に行います。
試作段階では、実機と同じ機体(試作機)を作り、機体が使われる(飛行する)環境下での試験や、破壊試験などを含む構造試験などが行われます。
ここでは、航空機の試験に関する記事をまとめています。
写真で見る実現象
衝撃波とベイパーコーン
写真でよくみかけるのはベイパーコーン、衝撃波の写真は撮影も画像にするのも大変です。
航空機の音速超えで発生する衝撃波とベイパーコーンは別の現象
航空機の周囲に白い雲(ベイパーコーン)のある写真を音速超えの写真としてみることがあります。音速(マッハ1)を超えると衝撃波が発生しますが、衝撃波を画像として見るためには特殊な設備が必要です。衝撃波とベイパーコーンの違いを写真で説明します。
試験設備など
ノーズブーム:試作機の機首先端のアンテナみたいなモノ
航空機の高度や飛行速度を測るセンサーは機体に設置されますが、実際の高度や飛行速度を正確に計測するためにノーズブームが使われます。
ノーズブーム:試作機の速度などを計測する計測システム
ノーズ・ブーム(nose boom)とは、機体の速度、高度、温度を測定する計測システムです。C-5Mスーパーギャラクシー初号機、F-22ラプターの試作機であるYF-32、F-35の試作機であるX-35、F-35ライトニングII、B-21レイダーの写真を使い説明します。
実機による航空機の試験
デジタルツインなどシミュレーション技術も進んでいますが、実機による試験でシミュレーションモデルの検証も必要です。
実機を使った試験について紹介します。
対候性試験
T-7Aレッドホーク耐候性試験:極寒・酷暑に高湿度での機能確認
耐候性試験は、寒い気候だけでなく、高温、多湿などに条件下で、試験対象の機能が正常に発揮されるか、試験室に実機を持ち込み、極寒・酷暑・高湿度下で機能を確認します。航空機の耐候性試験試験について、次世代の訓練機T-7Aレッドホークを例に説明します。
環境アセスメントに必要な音響データ収集
F-15EXイーグルII音響試験:環境アセスメントに必要な音響データ収集
航空機は飛行時だけでなく離発着時にも大きな音(騒音)が発生します。騒音対策にはどの様な音が出ているかを知る必要があります。米国国防総省の騒音のベースラインを作成するために実施した、F-15EXイーグルIIによる音響試験について説明します。
電波暗室での電磁波試験
ステルスだけではない世界最大の電波暗室での実機による電磁波試験
無響室は外からの音を遮断するだけでなく、無響室の壁や天井などの反射を防ぎます。この無響室の電磁波版が電波暗室です。米国空軍の世界最大の電波暗室Benefield Anechoic Facilityでの米国空軍の実機による電磁波試験について写真を使い説明します。
艦載機の艦上試験:F-35BライトニングIIと海上自衛隊かが
艦載機F-35Bライトニングを運用するJMSDF「かが」の艦上運用試験
ステルス艦載機F-35BライトニングIIは、甲板や格納庫という限られた空間で運用されます。雨風に加え海面や潮流の影響もあり、パイロットはもちろんのこと空母に乗り込んでいる全員の協力が必要です。艦上運用試験について護衛艦「かが」を例に説明します。
いざという時のための訓練
パイロットだけではなく、支援部隊を含めた連携が必要だから訓練します。
高速道路での離着陸
高速道路を使った離発着:F-35ライトニングIIとA-10サンダーボルトII
空軍の戦闘機は、基地の滑走路を離陸・着陸します。しかし、有事の場合に、戦闘機が高速道路を使い離陸・着陸することがあります。2024年9月、最新のステルス戦闘機F-35AライトイングIIがフィンランドの高速道路を使った離着陸訓練のニュースが公...