RQ-4グローバルホーク(Global Hawk):高高度対応無人偵察機

RQ-4グローバルホーク 無人機
出典:USAF(米国空軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)は、遠隔操縦型の高高度無人偵察機です。

RQ-4の「R」は、偵察機、「Q」と「4」は遠隔操縦型の航空機システムの4番目であることを意味しています。

ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からRQ-4グローバルホーク(Global Hawk)についてまとめています。

スポンサーリンク

高高度無人偵察機RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)とは

RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)は、遠隔操縦型の高高度無人偵察機です。

高高度、長時間の飛行が可能であり、統合化されたセンサーを利用して、全天候型で昼夜を問わず情報・監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)能力を備えています。

また、航空自衛隊でも装備されています。

下図は、RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)です。

RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)

An RQ-4 Global Hawk soars through the sky to record intelligence, surveillence and reconnaissance data. Air Force and Navy officials met to discuss joint training with the RQ-4. (Courtesy photo)

図1 RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

RQ-4グローバルホークの主な特徴

RQ-4グローバルホークは、単体では運用できない遠隔操縦型の航空機システムの一部です。

以下の様々なセンサー群を利用した情報・監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)能力を持ち、ほぼリアルタイムで様々な情報を収集し、本隊に提供します。

  • 画像情報(IMINT:imagery intelligence)
  • 信号情報(SIGINT:signals intelligence)
  • 移動目標表示(MTI:moving target indicator)

RQ-4グローバルホークのシステム構成

RQ-4グローバルホークは、以下の2つの部隊により運用されます。

  • 打ち上げ・回収部隊(LRE:Launch and Recovery Element)
  • ミッション・コントロール部隊(MCE:Mission Control Element)

打ち上げ・回収部隊(LRE)は、航空機の基地に配置され、パイロットにより目標地域への輸送、機体の発進・回収を担当します。

ミッション・コントロール部隊(MCE)は、情報・監視・偵察(ISR)任務の大部分において、機体をコントロールします。パイロットと、センサー・オペレーターで運用されます。

写真がみつからなかったのですが、RQ-4グローバルホークのパイロット用ワークステーション(操縦システム)では、機体やセンサーの状態を把握し、飛行経路をコントロールします。また、任務上必要な航空管制、空中管制官、地上管制官、情報・監視・偵察(ISR)のチームとの通信ができます。

センサー・オペレーター用ワークステーション(センサー・システム)では、センサーのキャリブレーションンや条件設定、リアルタイムでの情報収集の計画と実施、センサーの状態把握、監視対象や情報収集の優先順位設定などを柔軟に行うことができます。

写真で見るRQ-4グローバルホーク

RQ-4グローバルホークをUSAF(米国空軍)のWebサイトの写真を使い説明します。

機体形状

下図は、機体上方からの写真(図1の再掲)です。

  • 機体後部にターボファンエンジンを搭載しています。
  • 尾翼は、Y字型の大きな尾翼と逆ハの字型の補助翼(フィン)からなります。
RQ-4グローバルホーク:上方から

An RQ-4 Global Hawk soars through the sky to record intelligence, surveillence and reconnaissance data. Air Force and Navy officials met to discuss joint training with the RQ-4. (Courtesy photo)

図2-1 RQ-4グローバルホーク:上方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、前方からの写真です。

  • 機体後方上部に設置されたターボファンエンジンの空気取り入れ口の形状が分かります。
RQ-4グローバルホーク:前方から

Global Hawk wet runway testing yields positive results A RQ-4 Global Hawk completes a wet runway test March 12, 2010, at Edwards Air Force Base, Calif. Members of the 452nd Flight Test Squadron will wrap up its Block 20 wet runway testing around the beginning of April. (Courtesy photo)

図2-2 RQ-4グローバルホーク:前方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、横からの写真です。

  • 特徴的な機種の形状が分かります。
  • 主翼のフラップが上がっています。
RQ-4グローバルホーク:側方から

RQ-4 2020 rotation of operation in Japan An RQ-4 Global Hawk, assigned to the 319th Operations Group Detachment 1, Andersen Air Force Base, Guam, lands at Yokota Air Base, Japan, May, 30, 2020, for a rotational deployment. The movement maintains operations for Global Hawks during months of inclement weather and other scenarios that have the potential to hinder readiness. (U.S. Air Force photo by Capt. Aaron Church)

図2-3 RQ-4グローバルホーク:側方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、機体下方からの写真です。

RQ-4グローバルホーク:下方から

Ready for full ops An RQ-4 Global Hawk assigned to the 452nd Flight Test Squadron flies in the skies above Edwards Air Force Base, Calif., May 23, 2023. The 452nd FLTS held a sunsetting event for the RQ-4 flight test program at Edwards AFB, June 9, 2023. The event marked the completion of the squadron’s test campaign for the aircraft. (U.S. Air Force photo by Bryce Bennett)

図2-4 RQ-4グローバルホーク:下方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、機体後方からの写真です。

  • Y字型の尾翼、胴体下部に設置された逆ハの字型の補助翼(フィン)の形状が分かります。
RQ-4グローバルホーク:後ろから

An RQ-4 Global Hawk like the one pictured is being used to assist Japan in disaster relief and recovery efforts. (U.S. Air Force photo/Senior Airman Nichelle Anderson)

図2-5 RQ-4グローバルホーク:後ろから

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

離陸

下図は、離陸準備中の写真です。

  • メンテナンス中の人の大きさから、機体が意外に大きいことが分かります。
  • 全高は4.7mあります。
RQ-4グローバルホーク:離陸(その1)

Global Hawk over Canada Airmen from the 9th Aircraft Maintenance Squadron at Beale Air Force Base, Calif., prepare to launch an RQ-4 Global Hawk April 8, 2010, on an operational mission. During the flight, the aircraft flew over Canadian airspace for the first time in non-training status. (U.S. Air Force photo/Airman 1st Class David Tracy)

図3 RQ-4グローバルホーク:離陸(その1)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、離陸時の写真です。

  • 写真ではスピード感が分かりませんが、機体と細く長い主翼からはグライダーの様な離陸をイメージしています。
RQ-4グローバルホーク:離陸(その2)

An RQ-4 Global Hawk takes off Oct. 24, 2018, at Naval Air Station Sigonella, Italy. The aircraft can reach altitudes of 60,000 feet and stay airborne for more than30 hours. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Ramon A. Adelan)

図3 RQ-4グローバルホーク:離陸(その2)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

着陸

下図は、着陸時の写真です。

  • 車輪や主翼のしなり具合から、グライダー的な飛行特性だと推測しています。
RQ-4グローバルホーク:着陸

An RQ-4 Global Hawk from Andersen Air Force Base, Guam lands at Misawa Air Base, Japan, May 24, 2014. The remotely piloted system supports U.S. intelligence, surveillance, and reconnaissance missions and contingency operations throughout the Pacific theater. The Global Hawk will be temporarily assigned to Misawa AB until October. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Nathan Lipscomb)

図4 RQ-4グローバルホーク:着陸

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

初飛行時の機体

1998年2月、RQ-4グローバルホークが初飛行を実施しました。

下図は、実証試験(advanced concept technology demonstration testing)時の写真のようです。

RQ-4グローバルホーク:初飛行

RQ-4 Global Hawk demonstration testing The RQ-4 Global Hawk unmanned aerial vehicle completed its first flight on Feb. 28, 1998. Even though the system was still undergoing advanced concept technology demonstration testing at Edwards Air Force Base, Calif., the RQ-4 was deployed to support operations in Afghanistan after the terrorist attacks of Sept. 11, 2001. (Courtesy photo)

図5 RQ-4グローバルホーク:初飛行

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

NASAに移管された機体

下図は、NASAに移管されたRQ-4グローバルホークの写真です。

先進概念技術実証機(Advanced Concept Technology Demonstration aircraft)グローバルホーク2機がNASAに移管されました。

  • NASAで2009年から始まるエアボーン・サイエンス・プログラムから研究活動をサポートします。
  • この2機は初期の開発プログラムで製造された1機目と6機目で、米国空軍での役割を終えたためNASAに移管されました。
RQ-4グローバルホーク:NASA移管

Global Hawk to NASA Two Global Hawk Advanced Concept Technology Demonstration aircraft were transferred from the U.S. Air Force to NASA’s Dryden Flight Research Center at Edwards Air Force Base, Calif. Initial research activities beginning in 2009 will support NASA’s Airborne Science Program. The ability of the unmanned Global Hawk aircraft brings a new capability to the science community for measuring, monitoring and observing remote locations of the Earth. The two Global Hawks were the first and sixth aircraft built under the original development program, and were made available to NASA when the Air Force had no further need for them. (NASA photo/Tony Landis)

図6 RQ-4グローバルホーク:NASA移管

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

U-2との1枚

高高度偵察機U-2ドラゴンレディとの1枚です。

  • RQ-4の高度は、18,288m
  • U-2ドラゴンレディの高度は、11,000m以上
RQ-4グローバルホーク:U-2ドラゴンレディとの1枚

130917-F-CY182-911 An RQ-4 Global Hawk taxies on the flightline as a U-2 makes its final approach Sept. 17, 2013, at Beale Air Force Base, Calif. The RQ-4 and U-2 are the Air Force’s primary high-altitude intelligence, surveillance and reconnaissance aircraft. (U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Bobby Cummings)

図7 RQ-4グローバルホーク:U-2ドラゴンレディとの1枚

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

RQ-4グローバルホークの歴史

RQ-4グローバルホークの歴史について説明します。

RQ-4グローバルホークの開発は、1995年の先進概念技術実証から始まり、高高度で長時間にわたるISR能力を戦闘部隊に提供可能な軍事的有用性があると認められ、2001年11月より実践配備されています。

なお、RQ-4の「R」は、偵察機、「Q」と「4」は遠隔操縦型の航空機システムの4番目であることを意味しています。

以下は、2014年現在のシステム構成についての情報です。

ブロック10

  •  7機調達され、2011年に退役

ブロック20

  • 当初、画像情報(IMINT:imagery intelligence)のみの機能で実戦投入
  • 3機のブロック20がEQ-4通信中継構成に変更され、戦場空中通信ノード(BACN:Battlefield Airborne Communications Node)を搭載
  • EQ-4の「E」は、BACNを搭載した機体の通信形態を表しています。

ブロック30

2011年8月、ブロック30の初期運用能力(IOC)獲得

以下のセンサーからなるマルチ・インテリジェンス・プラットフォームとなっています。

  • 電気光学、赤外線、合成開口レーダー(SAR:synthetic aperture radar)
  • ハイバンドとローバンドの信号情報(SIGINT:signals intelligence)センサー

ブロック40

2013年9月、ブロック40の早期運用能力(EOC)獲得

  • レーダー技術導入プログラム(RTIP:Radar Technology Insertion Program)により、アクティブ電子スキャンアレイレーダーを搭載し、移動目標表示(MTI:moving target indicator)と合成開口レーダー(SAR:synthetic aperture radar)データを提供可能です。
  • 2014年、34.3時間の飛行に成功し、米国空軍機による無給油飛行の最長記録となりました。
  • 2015年、ブロック40の初期運用能力(IOC)獲得

RQ-4グローバルホークの諸元

米国空軍のWebサイトの情報から主要諸元を下表に示します。

全長 14.5 m
全高 4.7 m
全幅 39.8 m
エンジン
  • ロールスロイス・ノースアメリカン製F-137-RR-100
  • ターボファン・エンジン
  • 推力:3,447 kgf
重量 6,781 kg
最大離陸重量 14,628 kg
速度 574 km/h
高度 18,288 m
航続距離 22,779 km
連続飛行時間 34時間以上
燃料搭載容量 7,847 kg
搭載重量(ペイロード) 1,360 kg
武装 無し
運用人員 LREパイロット、MCEパイロット、センサー・オペレーター

  • LRE(Launch and Recovery Element):打ち上げ・回収部隊
  • MCE(Mission Control Element):ミッション・コントロール部隊
スポンサーリンク

参考リンク

この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • USAF(米国空軍)のRQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の紹介ページ

まとめ

RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)は、遠隔操縦型の高高度無人偵察機です。

ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からRQ-4グローバルホーク(Global Hawk)について以下の項目で説明しました。

  • 高高度無人偵察機RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)とは
    • RQ-4グローバルホークの主な特徴
    • RQ-4グローバルホークのシステム構成
  • 写真で見るRQ-4グローバルホーク
    • 機体形状
    • 離陸
    • 着陸
    • 初飛行時の機体
    • NASAに移管された機体
    • U-2との1枚
  • RQ-4グローバルホークの歴史
    • ブロック10
    • ブロック20
    • ブロック30
    • ブロック40
  • RQ-4グローバルホークの諸元
  • 参考リンク
タイトルとURLをコピーしました