ノーズブーム:試作機の速度などを計測する計測システム

ノーズブーム:C-5、YF-22、X-35、B-21 航空機のテスト
出典:USAF(米国空軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

ノーズ・ブーム(nose boom)とは、機体の速度、高度、温度を測定する計測システムのセンサーです。

ここでは、C-5Mスーパーギャラクシー初号機、F-22ラプターの試作機であるYF-32、F-35ライトニングIIの試作機であるX-35などのノーズ・ブームについて説明します。

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ノーズ・ブームとは

ノーズ・ブーム(nose boom)とは、機首に設置されるブーム形状(突起)のもので、速度等を計測する機器が搭載されています。

下図は、C-5Mスーパーギャラクシーの写真です。

  • 機首のオレンジ色の突起状の部分がノーズ・ブームです。
  • ノーズ・ブームの長さは、7mです。(以下の参考リンク先より)
C-5Mスーパーギャラクシー

C-5 still going strong after 38 years A modernized version of the C-5 Galaxy, known as the C-5M, made its maiden flight at Dobbins Air Reserve Base, Ga., on Monday, June 19. Upgrades to the venerable airlifter include new, more powerful engines; a modern cockpit with a digital, all weather flight control system, a new communications suite and enhanced navigation and safety equipment. (Lockheed Martin photo)

図1 C-5Mスーパーギャラクシー

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

ノーズ・ブームの詳細は、以下のFAAのパイロットハンドブックをご参照ください。

ノーズ・ブームの役割

ノーズ・ブームの役割は、飛行中の速度や温度などを精密に計測することです。

飛行中の速度といっても、直接速度を図っているわけではなく、ピトー管で圧力を計測し速度に換算しています。

ノーズ・ブームは機首から突き出ていますが、これは、機体(形状)の影響を受けない、飛行中の速度等を計測するためです。

ノーズ・ブームによる計測結果により、飛行速度について以下のことが分かります。

  • ノーズ・ブームによる飛行中の正確な速度
  • ノーズ・ブームによる速度と機体に設置した速度計との速度差が分かる。
  • 機体に設置した速度計で正確な速度を推定できる。

また、温度については、

  • ノーズ・ブームによる飛行中の正確な温度
  • ノーズ・ブームによる温度と機体表面に設置した温度計との速度差が分かる。
  • 機体表面に設置した温度計で正確な機体表面の温度を推定できる。

以上のことから、ノーズ・ブームは試作機で使われ、量産機には設置されません。

写真でみる様々な機体のノーズ・ブーム

C-5Mスーパーギャラクシーのノーズ・ブームは、図1で紹介しました。

ここでは、F-22ラプターの試作機YF-22と、F-35AライトニングIIの試作機X-35のノーズ・ブームなどの写真を紹介します。

F-22ラプターの試作機YF-22

下図は、F-22ラプターの試作機、YF-22です。

  • YF-22と比較されたのがYF-23です。
  • YF-22の方が完成度が高く、F-22として量産化されています。
  • YF-23は、YF-22よりも技術的にはチャレンジした機体でした。
YF-22(F-22ラプターの試作機)

YF-22 Advanced Technology Fighter fires a missile The YF-22 Advanced Technology Fighter fires a missile in flight over the Pacific Ocean. (Courtesy photo)

図2 YF-22(F-22ラプターの試作機)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

F-35AライトニングIIの試作機X-35

下図は、F-35AライトニングIIの試作機X-35です。

  • Joint Strike Fighterとは、統合打撃戦闘機計画といわれるもので、量産化された様々な機体が関わっています。
  • F-35の「35」は、X-35からきているようです。

型式番号の詳細は、以下の記事をご参照ください。

X-35(F-35AライトニングIIの試作機)

X-35 The X-35 Joint Strike Fighter demontrator

図3 X-35(F-35AライトニングIIの試作機)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

F-35ライトニングII

下図は、F-35ライトニングIIです。

F-35ライトニングII

An F-35 from Edwards flies off the coast of California, Feb. 6, 2013. (U.S. Air Force Photo by Paul Weatherman/Lockheed Martin)

図4 F-35ライトニングII

出典:EDWARDS AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

B-21レイダー

下図は、B-21レイダーの試験飛行中の写真です。

B-21レイダー:試験飛行(その1)

B-21 Raider continues flight test, production A B-21 Raider conducts flight testing, which includes ground testing, taxiing, and flying operations, at Edwards Air Force Base, California. The B-21 will interoperate with our allies and partners to deliver on our enduring commitment to provide flexible strike options for coalition operations that defend us against common threats. (Courtesy photo)

図4-1 B-21レイダー:試験飛行(その1)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、低空での試験飛行をしているB-21レイダーの写真です。

B-21レイダー:試験飛行(その2)

B-21 Raider continues flight test, production A B-21 Raider conducts flight tests, which includes ground testing, taxiing, and flying operations, at Edwards Air Force Base, California, where it continues to make progress toward becoming the backbone of the U.S. Air Force bomber fleet. The B-21 will possess the range, access, and payload to penetrate the most highly-contested threat environments and hold any target around the globe at risk. The B-21 program is on track to deliver aircraft in the mid-2020s to Ellsworth Air Force Base, South Dakota, which will be the first B-21 main operating base and location for the B-21 formal training unit. (Courtesy photo)

図1 B-21レイダー:試験飛行(その2)

出典:EDWARDS AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています。)

 

B-21レイダーの詳細は、以下の記事をご参照ください。

F/A-18によるアクティブ弾性翼の試験機

下図は、NASAによるアクティブ弾性翼の試験機F/A-18の写真です。

  • アクティブ弾性翼は、主翼の形状(主翼の反り)を変化させることができます。
  • 機首にノーズ・ブームがあります。
F/A-18アクティブ弾性翼試験機

Wing warping could change shape of future aircraft OVER EDWARDS AIR FORCE BASE, Calif. — NASA’s modified Active Aeroelastic Wing F/A-18 completes a 360-degree aileron roll during a recent research flight. (NASA photo by Jim Ross)

図5 F/A-18アクティブ弾性翼試験機

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

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まとめ

ノーズ・ブーム(nose boom)とは、機体の速度、高度、温度を測定する計測システムです。

ここでは、C-5Mスーパーギャラクシー初号機、F-22ラプターの試作機であるYF-32、F-35の試作機であるX-35などノーズ・ブームについて、以下の項目で説明しました。

  • ノーズ・ブームとは
  • ノーズ・ブームの役割
  • 写真でみる様々な機体のノーズ・ブーム
    • F-22ラプターの試作機YF-22
    • F-35AライトニングIIの試作機X-35
    • F-35ライトニングII
    • B-21レイダー
    • F/A-18によるアクティブ弾性翼の試験機
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