米国空軍の協調戦闘機(CCA)に2機種指定:YFQ42A&YFQ-44A

協調戦闘機(CCA)試作:YFQ-42A & YFQ-44A 最新の開発情報
出典:USAF(米国空軍)のWebサイトからの画像

協調戦闘機(CCA:collaborative combat aircraft)は、戦闘機などと一緒に行動する無人機のことです。

2025年3月、米国空軍は、協調戦闘機(CCA)として次の2機種を選定しました。

  • General Atomics社製のYFQ-42A
  • Anduril社製のYFQ-44A

ここでは、協調戦闘機(CCA)に指定されたYFQ-42AとYFQ-44Aについて説明します。

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協調戦闘機(CCA)とは

CCA(collaborative combat aircraft)は、有人戦闘機と一緒に行動(飛行)できる無人機のことです。

はかせ
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CCAは「loyal wingman」ともいわれています。

米国空軍によるとジェットエンジンを搭載したCCAは、次のような様々な任務に対応できる可能性があります。

  • 単独または少数での飛行
  • 空対空戦闘、空対地戦闘
  • 電子戦
  • 照準(センサーとしての意味かと思います)
  • 情報・監視・偵察

また、CCAのAIソフトウェアは、次のような役割が期待されています。

  • パイロットとの共同作業を可能にする。
  • パイロットの指示を受け、現在の戦闘機よりも低コストで戦闘機部隊を大規模化する。
  • パイロットを守る。
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CCA計画の前提条件の1つには、500機の新型戦闘機について、1機当たり2機のCCAを使用するという予測があるようです。

また、CCAは、先日発表されたF-47を含む次世代制空権(NGAD:Next-Generation Air Dominance)の一部であり、将来の有人戦闘機やセンサー、武装なども含まれる可能性があります。

はかせ
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F-22ラプターの後継となる戦闘機?を含めた大きなシステムの一部となるということかと思います。

CCAが求められる理由

CCAが求められるようになった理由の1つに、作戦や運用のコンセプトが変化していることが挙げられます。

航空機の開発、導入、運用にはコストがかかりますが、1990年代以降、米国空軍の保有機数が減少している理由の1つはコストです。

CCAのコストについて、次のメリットが挙げられています。

  • CCAのコストは有人戦闘機のおよそ1/3と見込まれている。
  • CCAの訓練はバーチャルであり、実機での飛行回数が減ることになり、結果的に整備・維持コストの削減の可能性がある。
  • 戦闘機を増強するのに十分な量を導入できる可能性がある。

また、実運用におけるCCAのメリットには、次のことが挙げられています。

  • 有人戦闘機を含めた戦術戦闘機部隊が、制空権を獲得するのに役立る可能性がある。
  • アジャイル・コンバット・エンプロイメント(ACE:agile combat employment)とよばれる別に実施されている作戦コンセプトにも役立つ可能性がある。

なお、ACEのコンセプトで、作戦で使用する大規模で集中的な物理インフラから、分散した場所をつなぐネットワークに移行します。

また、CCAを加えることは、戦闘機にセンサーや長射程の武装を増やすための手段にもなります。

YFQ-42AとYFQ-44Aについて

2025年3月に協調戦闘機(CCA)に指定されたYFQ-42AとYFQ-44Aについて説明します。

下図は、YFQ-42AとYFQ-44Aのイメージイラスト(artwork)です。

  • YFQ-42Aは下図下側の機体、YFQ-44Aが下図上側の機体です。
YFQ-42AとYFQ-44Aのイメージ

250304-F-AF000-1001 Air Force designates two Mission Design Series for collaborative combat aircraft Concepts of the uncrewed fighter aircraft YFQ-42A (bottom) and the YFQ-44A are pictured in artwork. The aircraft are designed to leverage autonomous capabilities and crewed-uncrewed teaming to defeat enemy threats in contested environments. (U.S. Air Force artwork courtesy of General Atomics Aeronautical Systems, Inc. and Anduril Industries)

図1 YFQ-42AとYFQ-44Aのイメージ

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

YFQ-42AとYFQ-44Aは、2025年の夏ごろには飛行できるようになる予定です。

以下、2025年3月末時点の情報で説明します。

YFQの意味するところ

YFQの意味は、次の通りです。

  • Y:プロトタイプ(試作機、生産開始となるとYが取れます。)
  • F:ファイター(戦闘機)
  • Q:無人機

また、YFQ-42AとYFQ-44Aについて、

  • 42と44は、設計番号(Design Number)
  • Aは、最初のシリーズ

を意味しています。

軍用機の型式番号(モデルナンバー)の命名規則については、以下の記事をご参照ください。

YFQ-42A

YFQ-42Aは、General Atomics社製です。

下図の第2世代の自律型AI無人機プラットフォームXQ-67Aに続く機体です。

第2世代AI無人機XQ-67A

240229-F-F3963-1003 AFRL’s XQ-67A Makes 1st Flight AFRL’s XQ-67A Off Board Sensing Station, or OBSS, designed and built by General Atomics, took its maiden flight Feb. 28 from Gray Butte Field Airport, Palmdale, California. XQ-67A completed several test points and safely recovered on the first of a series of flight tests. The XQ-67A is the first of a second generation of autonomous collaborative platforms, or ACP.(Courtesy photo.)

図2 第2世代AI無人機XQ-67A

出典:AIR FORCE MATERIEL COMMAND(米国空軍)のWebサイトからの画像(加工しています。)

第2世代の自律型AI無人機プラットフォームXQ-67Aについては、以下の記事をご参照ください。

YFQ-44A

YFQ-44Aは、Anduril社製です。

Anduril社は、Furyと呼ばれる大型無人機をCCAの役割を果たせる高性能のマルチミッション対応させる計画です。

他に、複数のセンサーやドメインでコマンド・アンド・コントロールに使用できるオープン・システム・ソフトウェア・プログラムである「Lattice software」の開発をしています。

この他にも、Altius-600Mなどのドローンを開発しています。

下図は、第1世代のAI無人機XQ-58Aヴァルキリーから放出されたAltius-600の写真です。

  • XQ-58Aヴァルキリーのウェポンベイが開いています。
  • XQ-58Aヴァルキリー有人機との連携や新たなコンセプトを開発するテストベッド・プラットフォームです。
XQ-58Aヴァルキリーから放出されたAltius-600

210326-F-F3963-9001 Valkyrie deploys Altius-600 The XQ-58A Valkyrie demonstrates the separation of the ALTIUS-600 small unmanned aircraft system in a test at the U.S. Army Yuma Proving Ground test range, Ariz., March 26, 2021. The test was the first time the weapons bay doors have been opened in flight. (U.S. Air Force courtesy photo)

図3 XQ-58Aヴァルキリーから放出されたAltius-600

出典:EGLIN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

XQ-58Aヴァルキリーは、第1世代のAI無人機です。

XQ-58Aヴァルキリーについては、以下の記事をご参照ください。

参考リンク

この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • Air Force designates two Mission Design Series for collaborative combat aircraft
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まとめ

協調戦闘機(CCA:collaborative combat aircraft)は、戦闘機などと一緒に行動する無人機のことです。

2025年3月、米国空軍は、戦闘機などと一緒に行動する協調戦闘機(CCA)として次の2機種を選定しました。

  • General Atomics社製のYFQ-42A
  • Anduril社製のYFQ-44A

ここでは、協調戦闘機(CCA)に指定されたYFQ-42AとYFQ-44Aについて、以下の項目で説明しました。

  • 協調戦闘機(CCA)とは
    • CCAが求められる理由
  • YFQ-42AとYFQ-44Aについて
    • YFQの意味するところ
    • YFQ-42A
    • YFQ-44A
  • 参考リンク
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早ければ2025年の夏には飛行できるようなので、楽しみです。

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