航空機が音速を超える時に衝撃波が発生します。
発生した衝撃波による音などが地上に伝わる現象がソニックブームです。
ここでは、衝撃波とソニックブームについての説明とNASAによる2機のT-38タロンによる衝撃波の可視化例を紹介します。
機体周囲に生じた雲の写真が音速超えとして紹介されていることもがありますが、これは衝撃波ではなくベイパーコーンです。
衝撃波とベイパーコーンの違いについては、以下の記事をご参照ください。
衝撃波とソニックブーム
音速(マッハ1)を超えると衝撃波が発生します。
- 音速は、秒速340(m/s)、時速1224(km/h)、気温や高度で変わります。
衝撃波が発生すると地上で大きな音が聞こえる現象は、ソニックブームです。
- 発生した衝撃波が地上に伝わり、大きな音が聞こえたり、建物のガラスが割れたりすることもあります。
衝撃波とソニックブーム
衝撃波とソニックブームについて簡単に説明します。
衝撃波とは、
- 航空機が音速になると発生します。
- 連続的に発生するというよりも、次々と発生するというイメージです。
- 衝撃波を境に、温度、空気の圧力(密度)、空気の速度が急激に変わります。
ソニックブームとは、
- 衝撃波により発生した大きな圧力(音)は、空気を伝わり地上に影響を与えます。
- 例えば、航空機の先端を頂点とする衝撃波は、円錐状に広がり地上に伝わっていきます。
超音速飛行における衝撃波のイメージ
航空機が音速を超えて飛行することで、衝撃波が発生し、ソニックブームとして地上に伝わるイメージを説明します。
航空機の超音速飛行により発生する衝撃波について説明します。
下図は、音速(マッハ1)未満で飛行している航空機の周りの空気の様子のイメージです。
高速飛行する航空機にから発生する音は、波紋のように広がっていきます。
- 下図の青い円は、航空機が下図の矢印方向に進んでいるため、前方の空気が圧縮されている様子のイメージです。
- 航空機の速度が音速(マッハ1)に近づいていくと、下図の航空機前方側の青い円の間隔が狭くなって(航空機前方側の空気が圧縮されて)いきます。

マッハ1未満で飛行時
図1-1 マッハ1未満で飛行時
下図は、音速(マッハ1)で飛行している航空機と周りの空気の様子のイメージです。
- 下図の様に、航空機の先端と青い円の波紋の開始点が一致すると衝撃波が発生します。

マッハ1で飛行時
図1-2 マッハ1で飛行時
下図は、航空機が、音速(マッハ1)を超えて飛行している航空機と周りの空気の様子のイメージです。
- 航空機の速度が音速(マッハ1)を超えると、音速よりも航空機の速度の方が速くなります。
- 下図の赤線が衝撃波です。実際には航空機先端で発生した衝撃波は、円錐状に広がっていくため、マッハコーンともいわれます。

マッハ1超えの超音速飛行時
図1-3 マッハ1超えの超音速飛行時
超音速飛行におけるソニックブームのイメージ
衝撃波が地上に伝わる現象をソニックブームといいます。
- 衝撃波が空気による圧力波となり、地面(海上)に到達した時に雷のような衝撃音が発生したり、建物のガラスが割れたりすることもあります。
下図は、超音速飛行により発生した衝撃波とソニックブームのイメージです。
- 機体先端で発生した衝撃波が、空気の圧力波として地上のA点に伝わり、ソニックブームになるイメージです。
- 地上では衝撃音が聞こえますが、航空機はすでに通り過ぎていますので、音だけが聞こえます。
- 大きい音(衝撃音)は、空気による圧力波なので、窓ガラスなどを割る様なケースもあります。

衝撃波によるソニックブームのイメージ
図2 衝撃波によるソニックブームのイメージ
衝撃波とソニックブームの詳細は、以下の記事をご参照ください。
NASAの衝撃波可視化例
衝撃波がどのような現象なのか理解できていないので、ここではNASAの衝撃波の写真を紹介します。
下図は、NASAによる衝撃波の可視化例です。
- 機体はT-38タロンで、マッハ1.01で飛行中の写真です。
- 下図は、NASAの特殊なシュリーレン撮影技術(AirBOS:Airborne Background Oriented Schlieren Imaging)を使った画像に、機体の写真を合成したものです。
- 機体先端の山形の直線が衝撃波の波面になります。機首、空気取入口、主翼全縁、排気口後端などから衝撃波が発生しています。
- 下図は、2機の衝撃波の相互作用(干渉)を捉えた写真です。

AirBOS4 NASA ID: ACD21-0016-002_F4_P3_RGB_planedrop_cleaned Composite image of Background Oriented Schlieren (BOS) data (contour) with a cut-out images of the T-38’s during a Mach Number 1.01 pass. This data is the first time shockwave interactions between two full scale aircraft traveling faster than the speed of sound have been imaged and shown with schlieren visualization. Original recording of the pass taken in the Black Mountain Supersonic Corridor at near Edwards AFB in December of 2018. Image acquired by JT Heineck, schlieren data processed by Neal Smith
図1 衝撃波の例:AirBOS4
出典:NASAのWebサイトより

衝撃波の撮影は、撮影技術だけでなく、パイロットの飛行技術、飛行エリア、飛行条件や気象の影響もあり、大掛かりな試験の1つです。
まとめ
航空機が音速を超える時に衝撃波が発生します。
発生した衝撃波による音などが地上に伝わる現象がソニックブームです。
ここでは、衝撃波とソニックブームについての説明とNASAによる衝撃波可視化例について説明しました。
- 衝撃波とソニックブーム
- 衝撃波とソニックブーム
- 超音速飛行における衝撃波のイメージ
- 超音速飛行におけるソニックブームのイメージ
- NASAの衝撃波可視化例