T-38タロン:アグレッサーにも使われる双発の超音速ジェット練習機

T-38タロン 訓練機
出典:AIR EDUCATION AND TRAINING COMMAND(米国空軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

T-38タロン(Talon)は、双発(エンジン2機)の超音速ジェット練習機です。

T-38タロンは、優れた設計、高い性能と卓越した安全性、メンテナンスなどを含む経済性にも優れ、練習機だけでなくアグレッサー(対抗部隊)など、様々な用途で使用されています。

ここでは、T-38タロンについて、米国空軍のWebサイトの情報を主に写真を使い説明します。

T-38タロンとは

T-38タロンは1960年代から使われている練習機です。

AIR EDUCATION AND TRAINING COMMAND(米国空軍)では、最前線で使われる戦闘機や爆撃機のパイロット養成に使われています。

基本設計に加え、実運用での経済性やメンテナンス性に優れ、練習機以外の用途、例えば

  • テストパイロットの訓練
  • フライトテストのエンジニアの訓練
  • 電子機材やウェポンシステムの実験装置の試験
  • アグレッサー(対抗部隊)機
  • NASAでは、宇宙飛行士の訓練、観測機や追跡機

など、様々な用途で使用されています。

下図は、T-38Cタロンです。

  • 機体形状は写真を使って後述しますが、細長い流線型の胴体をもつ双発のジェット機です。
  • 複座の練習機であり、前席と後席のレイアウト(後席が前席より高い位置にあること)に特長があります。
T-38タロン

Goodfellow Hosts Flyover to Honor Local/Base Medical Professionals A T-6 Texan II, T-1A Jayhawk and a T-38C Talon, assigned to Laughlin Air Force Base, Texas, perform a flyover in San Angelo, Texas, May 21, 2020. Laughlin performed flyovers in three Texas cities as a part of the America Strong America Salutes Campaign, to show its gratitude for all front-line responders, economy sustainers and community members in the COVID-19 pandemic. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Benjamin N. Valmoja)

図1 T-38Cタロン

出典:AIR EDUCATION AND TRAINING COMMAND(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

T-38タロンの主な特徴

T-38タロンは、以下の特徴があります。

  • 操縦可能なノーズホイールを持つ三輪式着陸装置を備える。
  • エルロン、ラダーなどの補助翼は、2つの独立した油圧システムで駆動される。
  • 機体の重要部品は、整備員が容易に手が届く腰の高さにあり、メンテナンスしやすい。

グラス・コクピット

T-38Cタロンは、近代化改修型で、以下の特徴があります。

  • 統合アビオニクス・ディスプレイ、ヘッドアップ・ディスプレイ、及び、電子式採点システム(爆弾を投下しなくても採点可能なシステム)が統合されたグラス・コックピットを採用している。
  • AT-38Bは、ガンサイトと訓練用爆弾搭載装置(practice bomb dispenser)を備えている。

機体性能

T-38Cは、次のように離陸性能や機動性にも優れた機体です。

  • 離陸にわずか695.2(m)の滑走路で離陸可能
  • 海面からほぼ9,068(m)の高さまで1分間で上昇可能

射出型の座席

T-38Cタロンのコクピットは、複座のコックピットは、与圧され空調が効いています。

また、座席は、ロケットエンジンにより射出されます。

シミュレータ

T-38Cタロンのシミュレータは、T-38Aタロン用のアナログ式シミュレータから、グラス・コクピットに対応したバーチャル・シミュレーターに更新されています。

下図は、T38Cタロン用のシミュレーターの写真です。

T-38タロンのシミュレーター:T-38C用

Virtual reality training RANDOLPH AIR FORCE BASE, Texas — The T-38C Talon trainer’s “glass cockpit” features digital instrument displays that are found in the new T-38C aircraft. The glass cockpit also allows virtual reality views of realistic flight environments. (U.S. Air Force photo by Javier Garcia)

図2-1 T-38タロンのシミュレーター:T-38C用

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図左側はT-38A用、下図右側が上図のT-38C用のシミュレーターです。

  • 下図左側はT-38A用は、アナログ方式のシミュレータです。
  • T-38A用2階建ての高さがあり、下図右側のT-38C用のデジタル・シミュレーターとの大きさの違いが分かります。
T-38タロンのシミュレータ:左側がT-38A用、右側がT-38C用

Simulator shuts down RANDOLPH AIR FORCE BASE, Texas — The two-story tall T-38A Talon analog simulator (left) towers over the new T-38C virtual reality trainer in the 12th Flying Training Wing’s simulator building here. (U.S. Air Force photo by Javier Garcia)

図2-2 T-38タロンのシミュレータ:左側がT-38A用、右側がT-38C用

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

写真で見るT-38タロン

T-38タロンを、USAF(米国空軍)のWebサイトの写真を使い説明します。

機体形状

下図は、機体上方からの写真です。

  • オーソドックスな設計の主翼、尾翼の形状であることが分かります。
  • インテークからエンジン、排気ノズルにつながるスリムな機体形状です。
T-38タロン:上方から

T-38 Talons ready for flight Crew chiefs and maintainers prepare a T-38 Talon prior to flight Jan. 26, 2011, at Whiteman Air Force Base, Mo. (U.S. Air Force photo/Senior Airman Kenny Holston)

図2-1 T-38タロン:上方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、前方からの写真です

  • キャノピーの大きさや主翼から小型な機体であることが分かります。
T-38タロン:前方から

190903-F-PE983-1001 Airmen prepare a T-38 Talon for takeoff at Joint Base Langley-Eustis, Va., Sept. 4, 2019. The T-38 was moved to Rickenbacker Air National Guard Base, Ohio, during evacuations for Hurricane Dorian. (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Sarah Dowe)

図2-2 T-38タロン:前方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、側方からの写真です。

  • 機体下側がフラットでスリムな機体形状です。
T-38タロン:側方から

190912-F-HA566-181 Maj. Dean Hall, pilot, and Lt. Col. Jared Laliberte, co-pilot, perform close-formation flying in a T-38C Talon during a training sortie over a military operations area located in East Texas, Sept. 12, 2019. The purpose of the flight was to conduct required upgrade training for the instructor pilot program. The pilots are assigned to the 560th Flying Training Squadron at Joint Base San Antonio-Randolph, Texas. (U.S. Air Force photo by Master Sgt. Christopher Boitz)

図2-3 T-38タロン:側方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、下方からの写真です。

  • 機体下面がフラットなことが分かります。
T-38タロン:下方から

A U.S. Air Force T-38 Talon flies over the Atlantic Ocean off the coast of Southern Virginia, June 12, 2018. The 71st Fighter Training Squadron pilots fly the Talon in support of the 1st Fighter Wing training mission; acting as aerial adversaries against F-22 Raptor pilots preparing to deploy around the world. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Natasha Stannard)

図2-4 T-38タロン:下方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

離陸

下図は、T-38タロンの離陸時の写真です。

T-38タロン:離陸(その1)

Edwards AFB resumes flight operations for 2023 A T-38 Talon assigned to the 412th Test Wing, takes off from Edwards Air Force Base, California, Jan, 4, 2023. Flight operations resumed this week at Edwards AFB following the holidays. (Air Force photo by Giancarlo Casem)

図3 T-38タロン:離陸(その1)

出典:EDWARDS AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

離陸時の写真をもう1枚。

  • 写真は、2基あるエンジンの片方のみ使っての離陸試験の写真です。
T-38タロン:離陸

Edwards tests single-engine takeoffs EDWARDS AIR FORCE BASE, Calif. — A T-38 Talon takes off from here with only one engine during single-engine takeoff testing. The high-risk testing the aircraft is undergoing will help determine the safest single engine takeoff speed for the aircraft if an engine fail during takeoff. (U.S. Air Force photo by Chad Bellay)

図3 T-38タロン:離陸(その2)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

着陸(タッチ・アンド・ゴー)

下図は、タッチ・アンド・ゴー訓練をしているT-38タロンの写真です。

T-38タロン:タッチ・アンド・ゴー

130821-F-DL404-903 Pilots practice touch-and-go maneuvers in a T-38 Talon during training Aug. 21, 2013, at Sheppard Air Force Base, Texas. The Talon is a two-seat, twin-engine supersonic jet trainer used to train pilots in the international Euro-NATO Joint Pilot Training Program. The pilots are assigned to the 80th Flying Training Wing. (U.S. Air Force photo/Danny Webb)

図4 T-38タロン:タッチ・アンド・ゴー

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

コクピット

T-38タロンは複座で、下図の様に後席の教官席が前席の生徒側よりも高い位置にあります。

  • 下図は、T-38Cです。
T-38Cタロン:コクピット(その1)

191023-F-HA566-0068 Maj. Joe Calcitrai, 39th Flying Training Squadron pilot, and Lt. Col. Josh Lechowick,19th Air Force pilot, conduct instructor pilot training in a T-38C Talon over a military operations area in southern Texas, Oct. 23, 2019. The 560th Flying Training Squadron qualifies pilots from various airframes as instructor pilots in the T-38 aircraft. (U.S. Air Force photo by Master Sgt. Christopher Boitz)

図5-1 T-38Cタロン:コクピット(その1)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

キャノピーは、下図の様に前席と後席とで独立しています。

T-38Cタロン:コクピット(その2)

T-38 Talons ready for flight T-38 Talon pilots make their final adjustments in the cockpit before takeoff Jan. 26, 2011, at Whiteman Air Force Base, Mo. (U.S. Air Force photo/Senior Airman Kenny Holston)

図5-1 T-38Cタロン:コクピット(その2)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

T-38タロンの歴史

T-38タロンの歴史について、USAF(米国空軍)のWebサイトの情報から説明します。

2023年1月現在、後継機となるT-7Aレッドーホークの運用試験が行われています。T-7Aレッドーホークの詳細は、以下の記事をご参照ください。

1959年:初飛行

1961~1972年の間に、米国空軍に1,100機以上納入されました。

その後、時間の経過と共に、特定の機体、エンジン、システム部品が変更または交換されました。

  • Pacer Classic:重要な改造を統合した大規模な構造の交換を含む維持プログラム

2001年:T-38C米国空軍への納入開始

2001年、アビオニクスを更新したT-38Cの米国空軍の納入が開始されました。

T-38Cは、以下の更新を実施しました。

  • 信頼性と保守性を向上させるために主要なエンジン部品を交換する推進近代化プログラム
  • 離陸推力を増加させるためのエンジンインレット/インジェクターの改造

T-38タロンの諸元

USAF(米国空軍)のWebサイトの情報からT-38タロンの主要諸元を下表に示します。

全長 14 m
全高 3.8 m
全幅 7.6 m
エンジン
  • GE製J85-GE-5ターボジェットエンジン アフターバーナー付
  • 推力:930 kg、アフターバーナー使用時:1,315 kg
  • PMP推力:998 kg、アフターバーナー使用時:1,497 kg
    • PMP(propulsion modernization program:推力近代化プログラム)
重量
速度 1,287 km/h(マッハ1.08 海面)
高度 16,764 m以上
最大離陸重量 5,485 kg
航続距離 1,759 km
武装
  • T-38A/C:なし
  • AT-38B:訓練用爆弾搭載装置(practice bomb dispenser)
乗員 2名(生徒と教官)

参考リンク

この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • USAF(米国空軍)のT-38タロンの紹介ページ

まとめ

T-38タロン(Talon)は、双発(エンジン2機)の超音速ジェット練習機です。

T-38タロンは、優れた設計、高い性能と卓越した安全性、メンテナンスなどを含む経済性にも優れ、練習機だけでなくアグレッサー(対抗部隊)など、様々な用途で使用されています。

ここでは、T-38タロンについて、米国空軍のWebサイトの情報を主に写真を使い、以下の項目で説明しました。

  • T-38タロンとは
    • T-38タロンの主な特徴
    • グラス・コクピット
    • 機体性能
    • 射出型の座席
    • シミュレータ
  • 写真で見るT-38タロン
    • 機体形状
    • 離陸
    • 着陸(タッチ・アンド・ゴー)
  • コクピット
  • T-38タロンの歴史
    • 1959年:初飛行
    • 2001年:T-38C米国空軍への納入開始
  • T-38タロンの諸元
  • 参考リンク
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