成層圏の実験室:NASAの白いB-52Hのテストベッド(マザーシップ)

NASAのテストベッド:白いB-52H 試験機
出典:NASAのWebサイトからの画像

NASAには、米国空軍で運用している航空機をベースとした様々な試験機があります。

ここでは、成層圏の要塞とも呼ばれる従来型の戦略爆撃機B-52HストラトフォートレスをベースとしたテストベッドであるNASAの白いB-52Hについて、主にNASAのWebサイトからの情報を元に説明します。

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成層圏の要塞B-52Hストラトフォートレスとは

B-52Hストラトフォートレスは、開発中のB-21レイダーが試験飛行をしている2025年8月現在も現役の長距離爆撃機です。

下図は、B-52HストラトフォートレスをベースにNASAのテストベッドとなった白いB-52Hの写真です。

  • 下図は、2002年4月に撮影された写真です。
  • 見た目は、米国空軍のB-52Hストラトフォートレスと同じですが、中身はNASAの試験機に改修されています。
NASAの白いB-52Hテストベッド

EC02-0083-12 NASA Dryden’s B-52H in flight. Image Credit: NASA/Jim Ross

図1 NASAの白いB-52Hテストベッド

出典:NASAのWebサイトからの画像

写真で見るNASAの白いB-52H

NASAの白いB-52HをNASAのWebサイトの写真を使い説明します。

機体形状

NASAの白いB-52Hは、B-52Hストラトフォートレスの機体を利用しているため、輸送機の様な爆撃機としてオーソドックスな形状です。

下図(図1の再掲)は、白いB-52Hの上方からの写真です。

  • エンジンは2基1組で、左右に計8基です。
  • 垂直尾翼と水平尾翼も大きいです。
NASAの白いB-52H:上から

EC02-0083-12 NASA Dryden’s B-52H in flight. Image Credit: NASA/Jim Ross

図2-1 NASAの白いB-52H:上から

出典:NASAのWebサイトからの画像

下図は、下方からの写真です。

  • 主翼下に吊り下げられたエンジンの様子がわかります。
  • 大きな主翼の補助翼の様子がわかります。
NASAの白いB-52H:下から

EC02-0083-3 NASA Dryden’s B-52H in flight Image Credit: NASA/Jim Ross

図2-2 NASAの白いB-52H:下から

出典:NASAのWebサイトからの画像

下図は、横方向からの写真です。

  • 見るからにペイロード(搭載量)重視の形状です。
  • 垂直尾翼の巨大さが目立ちます。
NASAの白いB-52H:横から

EC02-0083-2 B-52H over Dryden Flight Research Center Image Credit: NASA/Jim Ross

図2-3 NASAの白いB-52H:横から

出典:NASAのWebサイトからの画像

下図は、前方からの写真です。

NASAの白いB-52H:前方から

EC03-0258-19 NASA’s new B-52H is seen here on the ramp at the Dryden Flight Research Center, Edwards, California. Image Credit: NASA/Tony Landis

図2-4 NASAの白いB-52H:前方から

出典:NASAのWebサイトからの画像

着陸

下図は、着陸するNASAの白いB-52Hの写真です。

  • 大型の機体であり白煙を上げての着陸です。
NASAの白いB-52H:着陸

EC02-0083-1 B-52H over Dryden Flight Research Center Image Credit: NASA/Jim Ross

図3 NASAの白いB-52H:着陸

出典:NASAのWebサイトからの画像

機首

下図は、NASAの白いB-52Hの機首の写真です。

  • NASAマークを確認できます。
  • 下図の奥側は、先代のNASAのB-52Bです。

図4 NASAの白いB-52H:機首

出典:NASAのWebサイトからの画像

マザーシップとしてのパイロン

下図は、宇宙機(aerospace vehicle)を運ぶためのパイロンが設置された写真です。

  • 下図黄色の部分がパイロンです。(写真のキャプションではgreenとなっています。)
NASAの白いB-52H:宇宙機用のパイロン

EC04-0194-19 A newly constructed pylon (green) for carrying aerospace vehicles aloft flies attached to the wing of NASA Dryden Flight Research Center’s B-52H aircraft.Image Credit: NASA/Jim Ross

図5 NASAの白いB-52H:宇宙機用のパイロン

出典:NASAのWebサイトからの画像

空軍色のNASAのB-52H

下図は、NASAに到着した空軍色のB-52Hです。

空軍色のNASAのB-52H(その1)

EC01-0220-1 A B-52H, on loan to NASA’s Dryden Flight Research Center, makes a pass down the runway prior to landing at Edwards Air Force Base, California. Image Credit: NASA/Tony Landis

図6 空軍色のNASAのB-52H(その1)

出典:NASAのWebサイトからの画像

  • NASAのDryden Flight Research Centerの広さを感じる写真です。
空軍色のNASAのB-52H(その2)

EC01-0220-6 A B-52H, tail number 61-0025, arrives at NASA’s Dryden Flight Research Center after landing July 30, 2001. Image Credit: NASA/Tom Tschida

図6 空軍色のNASAのB-52H(その2)

出典:NASAのWebサイトからの画像

NASAのB-52の歴史

NASAの白いB-52Hと先代のB-52Bの歴史について説明します。

  • NASAの白いB-52Hの先代は、B-52B TN 008でした。
  • B-52Bは、2004年に退役となりました。

下図は、B-52B TN 008から空中発射されるX-38プロトタイプの写真です。

B-52B YN 008による試験

EC01-0204-2 X-38 flies free from NASA’s B-52 mothership, July 10, 2001 The second free-flight test of an evolving series of X-38 prototypes took place July 10, 2001 when the X-38 was released from NASA’s B-52 mothership over the Edwards Air Force Base range in California’s Mojave Desert. Shortly after the photo was taken, a sequenced deployment of a drogue parachute followed by a large parafoil fabric wing slowed the X-38 to enable it to land safely on Rogers Dry Lake at Edwards. NASA engineers from the Dryden Flight Research Center at Edwards, and the Johnson Space Center, Houston, Texas, are developing a “lifeboat” for the International Space Station based on X-38 research. Image Credit: NASA/Jim Ross

図7 B-52B YN 008による試験

出典:NASAのWebサイトからの画像

2001年:米国空軍よりB-52Hを調達

  • NASAは、先代のB-52Bの代替機としてB-52Hを調達しました。
  • 当初米国空軍から貸与でしたが後にNASAに移管されました。

2004年:B-52Bの代替機として導入

この期待は、NASAや米国空軍などによる研究や先端技術検証のため、空中発射及び試験機として使用予定でした。

2007年:米国空軍に返還

  • NASAでは当初B-52Bの代替機として使用しないことになり米国空軍に変換
  • 米国空軍は、地上用訓練機材として使用する予定でした。

NASAの白いB-52Hの諸元

NASAのWebサイトの情報から主要諸元を下表に示します。

全長 48.5 m
全高 12.4 m
全幅 56.4 m
エンジン
  • P&W製TF33-P-3/103ターボファンエンジン
  • 推力:7,711 kgf以上 (1基当たり)
  • 推力:61,688 kgf以上 (8基)
重量 83,910 kg
最大離陸重量
最大搭載重量
速度 1,046 km/h(マッハ0.84)
高度 15,240 m
航続距離 14,162 km
燃料搭載容量
武装
乗員

参考リンク

この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • NASAのB-52 Heavy-lift Airborne Launch Aircraftの紹介ページ
B-52 Heavy-lift Airborne Launch Aircraft - NASA
NASA's B-52B launch aircraft, operated by Dryden (now Armstrong) Flight Research Center, took part in some of the most s...
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まとめ

NASAには、米国空軍で運用している航空機をベースとした様々な試験機があります。

例えば、F-15イーグルベースのF15BやF-15D、U-2ドラゴンレディベースのER-2、無人機のRQ-4グローバルホークなど

ここでは、成層圏の要塞とも呼ばれる従来型の戦略爆撃機B-52HストラトフォートレスをベースとしたテストベッドであるNASAの白いB-52Hについて、主にNASAのWebサイトからの情報を元に以下の項目で説明しました。

  • 成層圏の要塞B-52Hストラトフォートレスとは
  • 写真で見るNASAの白いB-52H
    • 機体形状
    • 着陸
    • 機首
    • マザーシップとしてのパイロン
    • 空軍色のNASAのB-52H
  • NASAのB-52の歴史
    • 2001年:米国空軍よりB-52Hを調達
    • 2004年:B-52Bの代替機として導入
    • 2007年:米国空軍に返還
  • NASAの白いB-52Hの諸元
  • 参考リンク
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