MQ-1プレデター(Predator)は、偵察型のRQ-1からMQ-1へと改称されたマルチロール(多用途)対応の中高度無人機です。
MQ-9リーパーは、MQ-1プレデターをベースに開発されました。
MQ-1の「M」マルチーロール機のM、「Q」と「1」は遠隔操縦型の航空機システムの1番目であることを意味しています。前身となったRQ-1は偵察用途だったので「R」になります。
ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からMQ-1プレデター(Predator)についてまとめています。
MQ-1プレデター(Predator)とは
MQ-1プレデター(Predator)は、米国空軍の中高度マルチロール(多用途)対応の遠隔操縦型無人機です。
もとは、RQ-1として偵察用途でしたが、後に、空対地ミサイルAGM-114ヘルファイア搭載可能となりMQ-1プレデターとなりました。
型式番号については、以下の記事をご参照ください。
MQ-1プレデターは、主として情報収集に使われますが、広範囲のセンサーと通信設備、精密誘導兵器を搭載可能で、長時間の行動(飛行)ができるため、時間的な制約の多い目標に対する偵察や攻撃ができます。
広範囲をカバーするセンサー、マルチモード対応の通信システム、及び、精密誘導弾などを搭載可能な、多用途無人機です。
対応可能なミッション(作戦行動)には、情報収集、監視、偵察、近接航空支援、捜索・救助、精密な攻撃、レーザー誘導弾の最終誘導(buddy-lase)、輸送船団への襲撃の監視、ルートの安全確保(route clearance)、目標設定(target development)、終末誘導(erminal air guidance)があります。
下図は、MQ-1プレデター(Predator)です。
図1 MQ-1プレデター(Predator)
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
MQ-1プレデターの主な特徴
MQ-1プレデターには、以下のシステムが搭載されています。
- 赤外線センサー
- カラー/モノクロ昼光TVカメラ
- 画像強調TVカメラ
- レーザーデジゲーター、レーザーイルミネーターを統合したマルチスペクトル・ターゲティング・システム
各イメージセンサーからのフルモーションビデオは、別々のビデオとして見ることも、融合して見ることもできます。
また、空対地ミサイルAGM-114ヘルファイアを2発搭載可能です。
MQ-1プレデターのシステム構成
MQ-1プレデターを運用するシステム構成は以下の通りです。
- MQ-1プレデター4機(センサー、武器搭載)
- 地上管制ステーション
- プレデター・プライマリー・サテライト・リンク(衛星通信システム)
- 予備機器
- 運用・保守クルー(24時間のミッションに対応)
クルーの役割は以下の通りです。
- パイロット:機体を操縦しミッションを指揮する。
- センサーや武装の操作員
なお、クルーは地上管制ステーションから、見通し距離内のデータリンク、または、衛星データリンクを介してMQ-1プレダターの操作を行います。
MQ-1プレデターの主な運用
リモート・スプリット・オペレーションでは、前方の拠点に配備される人員を少なくし、異なるフライトのコントロールを1か所に集約することで、指揮統制機能に加え、ウェポン・システムの兵站(後方補給)の課題も簡素化することができます。
リモート・スプリット・オペレーションでは、前方の作戦拠点と本土の2拠点で以下の役割分担をしています。
- 前方の作戦拠点に地上管制部隊を配置し、離着陸を含めた発進・回収を行う。
- 米国本土を拠点とするパイロットは、見通し外回線を通じて他のミッションの指揮統制を行う。
MQ-1プレデターのその他の特徴
MQ-1プレデターは、分解してコンテナによる輸送ができます。
地上管制システムとPPSL(Predator Primary Satellite Link)は、C-130ハーキュリーズによる輸送ができます。
MQ-1プレデターは、1,524 m×23 mの硬い路面を滑走路として使用可能であり、地上データ端末のアンテナによる明瞭な視線を確保し運用できます。このアンテナは離着陸のための見通し通信(直接視認可能な通信)を提供できます。
PPSLは、MQ-1プレデターシステムに見通し外通信(over-the-horizon communications)を提供しています。
写真で見るMQ-1プレデター
MQ-1プレデターをUSAF(米国空軍)のWebサイトの写真を使い説明します。
機体形状
下図は、機体上方からの写真です。
- 機体後端のプロペラ、逆ハの字型の尾翼を確認できます。
図2-1 MQ-1プレデター:上方から
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、前方からの写真です。
- グライダーの様な主翼です。
- MQ-1Bプレデターは、逆ハの字型の尾翼に加え、中央下端にも下方向の尾翼があります。
図2-2 MQ-1Bプレデター:前方から
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、機体側方からの写真です。
- 機首下部のボール状のものは、マルチスペクトル・ターゲティング・システム(multispectural targeting system ball)です。
図2-3 MQ-1Bプレデター:側方から
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、機体下方からの写真です。
- 右主翼下のハードポイントにAGM-114ヘルファイアが搭載されています。
図2-4 MQ-1Bプレデター:下方から
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
離陸
下図は、離陸時の写真です。
- 急上昇ではなく、ゆっくり高度を上げていくイメージです。
図3 MQ-1Bプレデター:離陸
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
着陸
下図は、着陸時の写真です。
- リモートでの着陸は、速度を上げ離陸していくよりも難しそうなイメージがあります。
- 下向きの尾翼は、着陸時の操縦が難しい理由の1つと考えています。
図4 MQ-1Bプレデター:着陸
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
武装
下図は、AGM-114ヘルファイアを搭載した写真です。
- MQ-1プレデターは、AGM-114ヘルファイア(空対地ミサイル)を2発搭載できます。
図5 MQ-1プレデター:武装
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
MQ-1プレデター(Predator)の歴史
MQ-1プレデター(Predator)の歴史について説明します。
MQ-1プレデター(Predator)は、General Atomics Aeronautical Systems Inc.製です。
1996年4月:RQ-1プレデターを米国空軍での運用決定
1996年4月、米国空軍でRQ-1プレデターを運用することが決まりました。
RQ-1のということで、当初は偵察用途の無人機システムでした。
2002年:MQ-1プレデターとなる
2002年、AGM-114ヘルファイアを搭載可能となり、MQ-1プレデターとなりました。
これにより、情報、監視、偵察、近接航空支援、阻止目標(interdiction targets)への対応が可能となりました。
2005年3月:初期運用能力獲得
2005年3月、MQ-1プレデターは、初期運用能力(Initial operational capability)を獲得しました。
2011年8月:運用時間100万時間突破
2011年8月、MQ-1プレデーターは、開発、試験、訓練、戦闘の合計時間が100万時間を突破しました。
MQ-1プレデター(Predator)の諸元
米国空軍のWebサイトの情報から主要諸元を下表に示します。
全長 | 8.22 m |
---|---|
全高 | 2.1 m |
全幅 | 16.8 m |
エンジン |
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重量 | 512 kg |
最大離陸重量 | 1,020 kg |
速度 | 最大速度:217 km/h
巡航速度:135 km/h |
高度 | 7,620 m |
航続距離 | 1,239 km |
燃料搭載容量 | 378 L |
搭載重量(ペイロード) | 204 kg |
武装 | AGM-114:ヘルファイア(Hellfire missiles) 2発 |
運用人員 | 2名:パイロット、センサー・オペレーター |
参考リンク
この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。
英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。
- USAF(米国空軍)のMQ-1プレデター(Predator)の紹介ページ
まとめ
MQ-1プレデター(Predator)は、偵察型のRQ-1からMQ-1へと改称されたマルチロール(多用途)対応の中高度無人機です。
ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からMQ-1プレデター(Predator)について以下の項目で説明しました。
- MQ-1プレデター(Predator)とは
- MQ-1プレデターの主な特徴
- MQ-1プレデターのシステム構成
- MQ-1プレデターの主な運用
- MQ-1プレデターのその他の特徴
- 写真で見るMQ-1プレデター
- 機体形状
- 離陸
- 着陸
- 武装
- MQ-1プレデター(Predator)の歴史
- 1996年4月:RQ-1プレデターを米国空軍での運用決定
- 2002年:MQ-1プレデターとなる
- 2005年3月:初期運用能力獲得
- 2011年8月:運用時間100万時間突破
- MQ-1プレデター(Predator)の諸元
- 参考リンク