MQ-1プレデター(Predator):偵察型RQ-1から改称された中高度無人機

MQ-1プレデター 無人機
出典:USAF(米国空軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

MQ-1プレデター(Predator)は、偵察型のRQ-1からMQ-1へと改称されたマルチロール(多用途)対応の中高度無人機です。

MQ-9リーパーは、MQ-1プレデターをベースに開発されました。

MQ-1の「M」マルチーロール機のM、「Q」と「1」は遠隔操縦型の航空機システムの1番目であることを意味しています。前身となったRQ-1は偵察用途だったので「R」になります。

ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からMQ-1プレデター(Predator)についてまとめています。

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MQ-1プレデター(Predator)とは

MQ-1プレデター(Predator)は、米国空軍の中高度マルチロール(多用途)対応の遠隔操縦型無人機です。

もとは、RQ-1として偵察用途でしたが、後に、空対地ミサイルAGM-114ヘルファイア搭載可能となりMQ-1プレデターとなりました。

型式番号については、以下の記事をご参照ください。

MQ-1プレデターは、主として情報収集に使われますが、広範囲のセンサーと通信設備、精密誘導兵器を搭載可能で、長時間の行動(飛行)ができるため、時間的な制約の多い目標に対する偵察や攻撃ができます。

広範囲をカバーするセンサー、マルチモード対応の通信システム、及び、精密誘導弾などを搭載可能な、多用途無人機です。

対応可能なミッション(作戦行動)には、情報収集、監視、偵察、近接航空支援、捜索・救助、精密な攻撃、レーザー誘導弾の最終誘導(buddy-lase)、輸送船団への襲撃の監視、ルートの安全確保(route clearance)、目標設定(target development)、終末誘導(erminal air guidance)があります。

下図は、MQ-1プレデター(Predator)です。

MQ-1プレデター(Predator)

The MQ-1 Predator assigned to the 163rd Reconnaissance Wing in flight over the Southern California Logistics Airport (formerly George Air Force Base) in Victorville, Calif., Jan. 7, 2012. (U.S. Air Force Photo by Tech Sgt. Effrain Lopez)

図1 MQ-1プレデター(Predator)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

MQ-1プレデターの主な特徴

MQ-1プレデターには、以下のシステムが搭載されています。

  • 赤外線センサー
  • カラー/モノクロ昼光TVカメラ
  • 画像強調TVカメラ
  • レーザーデジゲーター、レーザーイルミネーターを統合したマルチスペクトル・ターゲティング・システム

各イメージセンサーからのフルモーションビデオは、別々のビデオとして見ることも、融合して見ることもできます。

また、空対地ミサイルAGM-114ヘルファイアを2発搭載可能です。

MQ-1プレデターのシステム構成

MQ-1プレデターを運用するシステム構成は以下の通りです。

  • MQ-1プレデター4機(センサー、武器搭載)
  • 地上管制ステーション
  • プレデター・プライマリー・サテライト・リンク(衛星通信システム)
  • 予備機器
  • 運用・保守クルー(24時間のミッションに対応)

クルーの役割は以下の通りです。

  • パイロット:機体を操縦しミッションを指揮する。
  • センサーや武装の操作員

なお、クルーは地上管制ステーションから、見通し距離内のデータリンク、または、衛星データリンクを介してMQ-1プレダターの操作を行います。

MQ-1プレデターの主な運用

リモート・スプリット・オペレーションでは、前方の拠点に配備される人員を少なくし、異なるフライトのコントロールを1か所に集約することで、指揮統制機能に加え、ウェポン・システムの兵站(後方補給)の課題も簡素化することができます。

リモート・スプリット・オペレーションでは、前方の作戦拠点と本土の2拠点で以下の役割分担をしています。

  • 前方の作戦拠点に地上管制部隊を配置し、離着陸を含めた発進・回収を行う。
  • 米国本土を拠点とするパイロットは、見通し外回線を通じて他のミッションの指揮統制を行う。

MQ-1プレデターのその他の特徴

MQ-1プレデターは、分解してコンテナによる輸送ができます。

地上管制システムとPPSL(Predator Primary Satellite Link)は、C-130ハーキュリーズによる輸送ができます。

MQ-1プレデターは、1,524 m×23 mの硬い路面を滑走路として使用可能であり、地上データ端末のアンテナによる明瞭な視線を確保し運用できます。このアンテナは離着陸のための見通し通信(直接視認可能な通信)を提供できます。

PPSLは、MQ-1プレデターシステムに見通し外通信(over-the-horizon communications)を提供しています。

写真で見るMQ-1プレデター

MQ-1プレデターをUSAF(米国空軍)のWebサイトの写真を使い説明します。

機体形状

下図は、機体上方からの写真です。

  • 機体後端のプロペラ、逆ハの字型の尾翼を確認できます。
MQ-1プレデター:上方から

ISR operations: Eye in the sky Air Force Secretary Deborah Lee James announced an increase to the service’s remotely piloted aircraft pilot bonus Aug. 10, 2016, in a multi-pronged approach to increase RPA manning and incentivize RPA pilots within a community that has operated at surge capacity for more than 10 years. RPAs include the MQ-1 Predator. (U.S. Air Force photo/Lt. Col. Leslie Pratt)

図2-1 MQ-1プレデター:上方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、前方からの写真です。

  • グライダーの様な主翼です。
  • MQ-1Bプレデターは、逆ハの字型の尾翼に加え、中央下端にも下方向の尾翼があります。
MQ-1プレデター:前方から

An MQ-1B Predator remotely piloted aircraft comes in for a ‘touch-and-go’ during a training mission, May 13, 2013. The MQ-1B Predator is an armed, multi-mission, medium-altitude, long-endurance remotely piloted aircraft that is employed primarily as an intelligence-collection asset and secondarily for munitions capability to support ground troops and base defense. (U.S. Air Force photo by 432nd Wing/432nd Air Expeditionary Wing/Released)

図2-2 MQ-1Bプレデター:前方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、機体側方からの写真です。

  • 機首下部のボール状のものは、マルチスペクトル・ターゲティング・システム(multispectural targeting system ball)です。
MQ-1プレデター:側方から

MQ-1B Predator A MQ-1B Predator from the 361st Expeditionary Reconnaissance Squadron takes off in support of Operation Iraqi Freedom here July 9, 2008. Through the use of advanced capabilities, focused doctrine and detailed training the predator provides integrated and synchronized close air combat operations, to include intelligence, surveillance and reconnaissance. (U.S. Air Force photo/Tech. Sgt. Sabrina Johnson)

図2-3 MQ-1Bプレデター:側方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、機体下方からの写真です。

  • 右主翼下のハードポイントにAGM-114ヘルファイアが搭載されています。
MQ-1プレデター:下方から

MQ-1B Predator The MQ-1 Predator unmanned aerial vehicle is a medium-altitude, long-endurance, remotely piloted aircraft. The Predator’s primary mission is interdiction and conducting armed reconnaissance against critical, perishable targets. When the Predator is not actively pursuing its primary mission, it acts as the joint forces air component commander-owned theater asset for reconnaissance, surveillance and target acquisition in support of the joint forces commander. (U.S. Air Force photo)

図2-4 MQ-1Bプレデター:下方から

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

離陸

下図は、離陸時の写真です。

  • 急上昇ではなく、ゆっくり高度を上げていくイメージです。
MQ-1プレデター:離陸

Unmanned aircraft crews strive to support warfighters An MQ-1B Predator unmanned aircraft takes off for a training mission at Creech Air Force Base, Nev. (U.S. Air Force photo/Senior Airman Larry E. Reid Jr.)

図3 MQ-1Bプレデター:離陸

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

着陸

下図は、着陸時の写真です。

  • リモートでの着陸は、速度を上げ離陸していくよりも難しそうなイメージがあります。
  • 下向きの尾翼は、着陸時の操縦が難しい理由の1つと考えています。
MQ-1プレデター:着陸

Aug. 18 airpower summary: Predators fly ISR missions An MQ-1B Predator unmanned aerial vehicle prepares to land at Balad Air Base, Iraq, after a combat mission in support of Operation Iraqi Freedom. Predator aircraft fly intelligence, surveillance and reconnaissance missions in Iraq and Afghanistan. Air Force Predator missions contributed to the 28 ISR missions flown Aug. 18. (U.S. Air Force photo/Senior Airman Olufemi A. Owolabi)

図4 MQ-1Bプレデター:着陸

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

武装

下図は、AGM-114ヘルファイアを搭載した写真です。

  • MQ-1プレデターは、AGM-114ヘルファイア(空対地ミサイル)を2発搭載できます。
MQ-1プレデター:武装

Unmanned engagement An MQ-1 Predator unmanned aerial vehicle taxis down the runway at Balad Air Base, Iraq, on Wednesday, June 14. The Predator can employ two laser-guided Hellfire anti-tank missiles. (U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Andrew Oquendo)

図5 MQ-1プレデター:武装

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

MQ-1プレデター(Predator)の歴史

MQ-1プレデター(Predator)の歴史について説明します。

MQ-1プレデター(Predator)は、General Atomics Aeronautical Systems Inc.製です。

1996年4月:RQ-1プレデターを米国空軍での運用決定

1996年4月、米国空軍でRQ-1プレデターを運用することが決まりました。

RQ-1のということで、当初は偵察用途の無人機システムでした。

2002年:MQ-1プレデターとなる

2002年、AGM-114ヘルファイアを搭載可能となり、MQ-1プレデターとなりました。

これにより、情報、監視、偵察、近接航空支援、阻止目標(interdiction targets)への対応が可能となりました。

2005年3月:初期運用能力獲得

2005年3月、MQ-1プレデターは、初期運用能力(Initial operational capability)を獲得しました。

2011年8月:運用時間100万時間突破

2011年8月、MQ-1プレデーターは、開発、試験、訓練、戦闘の合計時間が100万時間を突破しました。

MQ-1プレデター(Predator)の諸元

米国空軍のWebサイトの情報から主要諸元を下表に示します。

全長 8.22 m
全高 2.1 m
全幅 16.8 m
エンジン
  • Rotax製914F
  • 4気筒エンジン
  • 推力:84 kW(150 HP)
重量 512 kg
最大離陸重量 1,020 kg
速度 最大速度:217 km/h

巡航速度:135 km/h

高度 7,620 m
航続距離 1,239 km
燃料搭載容量 378 L
搭載重量(ペイロード) 204 kg
武装 AGM-114:ヘルファイア(Hellfire missiles) 2発
運用人員 2名:パイロット、センサー・オペレーター

参考リンク

この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • USAF(米国空軍)のMQ-1プレデター(Predator)の紹介ページ
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まとめ

MQ-1プレデター(Predator)は、偵察型のRQ-1からMQ-1へと改称されたマルチロール(多用途)対応の中高度無人機です。

ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からMQ-1プレデター(Predator)について以下の項目で説明しました。

  • MQ-1プレデター(Predator)とは
    • MQ-1プレデターの主な特徴
    • MQ-1プレデターのシステム構成
    • MQ-1プレデターの主な運用
    • MQ-1プレデターのその他の特徴
  • 写真で見るMQ-1プレデター
    • 機体形状
    • 離陸
    • 着陸
    • 武装
  • MQ-1プレデター(Predator)の歴史
    • 1996年4月:RQ-1プレデターを米国空軍での運用決定
    • 2002年:MQ-1プレデターとなる
    • 2005年3月:初期運用能力獲得
    • 2011年8月:運用時間100万時間突破
  • MQ-1プレデター(Predator)の諸元
  • 参考リンク
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