フライング・テスト・ベッドは、旅客機の機首に戦闘機の機首を設置し、戦闘機のアビオニクスや様々なレーダーやセンサー、戦闘機に搭載する様々なシステムの飛行試験を行うことができる試験機です。
ここでは、F-16ファイティング・ファルコンのフライング・テスト・ベッドと多機能センサーシステムを搭載したポッドであるLegion Podについて、主に米国空軍のWebサイトの情報と写真で説明します。
F-16ファイティング・ファルコンとは
F-16ファイティング・ファルコン(Fighting Falcon)は、エンジン1基のコンパクトな機体のマルチロール戦闘機です。
機動性に優れており、空対空と空対地戦闘にも対応できるうえに、比較的(最強の戦闘機ではあるが高価なF-15Eストライク・イーグルよりも)低コストであり、同盟国にも提供されているため戦闘機界のベストセラーとも言われます。
下図は、F-16ファイティング・ファルコンの写真です。

200317-F-AI558-9202 A U.S. Air Force F-16 Fighting Falcon flies over Afghanistan, March 17, 2020. The F-16 Fighting Falcon is a compact, multi-role fighter aircraft that delivers war- winning airpower to the U.S. Central Command area of responsibility. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Matthew Lotz)
図1 F-16ファイティング・ファルコン
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
F-16ファイティング・ファルコンの詳細は、以下の記事をご参照ください。
写真で見るF-16フライング・テスト・ベッド
F-16のフライング・テスト・ベッドについて、写真を使い説明します。
F-16フライング・テスト・ベッド
F-16のフライング・テスト・ベッドは、ビジネス用リージョナルジェット機(Canadair Regional Jet)ベースにしたF-16のシステム・テストを行うための機体です。
下図は、F-16のフライング・テスト・ベッドの写真です。
- 機首先端のグレー部分は、F-16ファイティング・ファルコンの機首と同じ形状で、レーダーなども搭載されています。
- 機体には、各種センサーやアンテナが設置されていますが、F-16のものなのかどうかはわかりませんでした。
図2-1 F-16のフライング・テスト・ベッド
出典:AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、F-16のフライング・テスト・ベッドの機首を拡大した写真です。
- F-22やF-35のフライング・テスト・ベッドのように、主翼に相当する部分はないようです。
- F-16ファイティング・ファルコンは、ステルス機ではないため必要性が低いのではないかと推測しています。
図2-2 F-16のフライング・テスト・ベッド(拡大)
出典:AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています。)
多機能センサーシステムLegion Pod
F-16ファイティング・ファルコンの電子戦関連システムは、Legion Podといわれる多機能センサーシステムを搭載したポッドもあります。
- Legion Podとは、多機能のセンサー・システムを搭載したポッドです。
- 赤外線サーチ&トラック(IRST:Infrared Search and Track)システムを搭載しています。
Legion Podなどの電子戦関連システムのテストには、F-16のフライング・テスト・ベッドと組み合わせた試験にも使われています。
下図は、F-16ファイティング・ファルコンは、Legion Podを搭載しています。
- Northern Lightning 21演習でLegion Podの試験のためタキシング中の単座のF-16Cファイティング・ファルコン写真です。

210827-F-AA323-1021 F-16C taxiing for takeoff A U.S. Air Force F-16C equipped with Lockheed Martin’s Legion Pod tests the infrared search and track technology during exercise Northern Lightning 21. (U.S. Space Force by Senior Airman Mira Roman)
図3 F-16のLegion Pod試験(その1)
出典:AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、上図のLegion Pod部分を拡大した図です。
- Legion Podは、F-16だけでなくF-15にも搭載されています。

210827-F-AA323-1021 F-16C taxiing for takeoff A U.S. Air Force F-16C equipped with Lockheed Martin’s Legion Pod tests the infrared search and track technology during exercise Northern Lightning 21. (U.S. Space Force by Senior Airman Mira Roman)
図3 F-16のLegion Pod試験(その2)
出典:AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています。)
下図は、Legion Podを搭載した複座のF-16Dファイティング・ファルコンが離陸する写真です。
- 単座のF-16Cと複座のF-16Dとでは、バブルキャノピーの形状が違います。

210827-F-AA323-1022 F-16D departure A U.S. Air Force F-16D equipped with Lockheed Martin’s Legion Pod tests the infrared search and track technology during exercise Northern Lightning 21. (U.S. Air National Guard Photo by PAO Kristen Keehan)
図3 F-16のLegion Pod試験(その3)
出典:AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
参考リンク
この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。
英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。
- Test milestones reached at Northern Lightning
まとめ
フライング・テスト・ベッドは、旅客機の機首に戦闘機の機首を設置し、戦闘機のアビオニクスや様々なレーダーやセンサー、戦闘機に搭載する様々なシステムの飛行試験を行うことができる試験機です。
ここでは、F-16ファイティング・ファルコンのフライング・テスト・ベッドと多機能センサーシステムを搭載したLegion Podについて、主に米国空軍のWebサイトの情報と写真を使い、以下の項目で説明しました。
- F-16ファイティング・ファルコンとは
- 写真で見るF-16フライング・テスト・ベッド
- F-16フライング・テスト・ベッド
- 多機能センサーシステムLegion Pod
- 参考リンク