デジタルツインを支える技術:F-22ラプターのフライング・テストベッド

航空機のテスト

フライング・テスト・ベッドは、旅客機の機首に戦闘機の機首を設置し、戦闘機のアビオニクスや様々なレーダーやセンサー、戦闘機に搭載する様々なシステムの飛行試験を行うことができる試験機です。

F-22ラプターに搭載されている様々なシステム開発では、開発したシステムのテスト、ハードウェアを組み合わせたテストに加え、実際の飛行状態での試験も必要です。

ハードウェアに変更が加えられた場合にも、変更部分のテスト、全体的なテスト、飛行状態でのテストが必要です。

ここでは、実際の飛行状態でF-22ラプターと同様のシステム試験が行えるF-22ラプターのフライング・テスト・ベッドについて、主に米国空軍のWebサイトの情報と写真で説明します。

スポンサーリンク

F-22ラプターとは

最新のステルス機はF-35AライトニングIIですが、最強のステルス機はF-22ラプターだと考えています。

ちなみに、F-15EXイーグルIIは、最強の戦闘機です。

F-22ラプターは、レーダーや赤外線探知装置などからの隠密性が極めて高いステルス戦闘機であり、次の3つの特徴を持っています。

  • 高いステルス性
  • アフターバーナーなしでのスーパークルーズ(超音速巡航)
  • STOL(短距離離着陸)が可能

下図は、F-22ラプターの写真です。

F-22ラプター

161113-F-BE432-179 F-22 Raptor demonstrates at Nellis U.S. Air Force Maj. Dan Dickinson, F-22 Raptor Demonstration Team pilot, executes a transition maneuver during the 2016 Air Power over Southern Nevada Air Show at Nellis Air Force Base, Nev., Nov. 13, 2016. Dickinson is an F-22 fighter pilot with more than 900 flying hours. (U.S. Air Force photo by 2nd Lt. Mahalia Frost)

図1 F-22ラプター

出典:JOINT BASE LANGLEY-EUSTIS(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

F-22ラプターの詳細は、以下の記事をご参照ください。

F-22フライング・テスト・ベッド

F-22のフライング・テスト・ベッドは、ボーイング757をベースの機体で、F-22ラプターのアビオニクスの空飛ぶ実験室です。

F-22フライング・テスト・ベッドは、F-22ラプターの実機と共に飛行して、開発したF-22ラプターのミッション・ソフトウェアの確認(テスト)を行います。

下図は、F-22フライング・テスト・ベッドと共に飛行する2機のF-22ラプターです。

  • 機首の形状が特徴的です。
F-22フライング・テスト・ベッド

241023-O-NE299-1001 F-22 Raptors from Nellis Air Force Base, Nevada fly in formation with the Boeing 757 Flying Test Bed near Edwards Air Force Base, California. The 411th Flight Test Squadron, Air Force Operational Test and Evaluation Center, Lockheed Martin, and Boeing work together within the Air Dominance Combined Test Force at Edwards Air Force Base to test capability enhancements for the F-22 Raptor. This includes early integration with warfighters through combined developmental and operational testing efforts. (Courtesy photo by Kyle Larson)

図2-1 F-22フライング・テスト・ベッド

出典:DVIDS(米国防総省画像配信システム)F-22 RAPTOR DEMONSTRATION TEAMからの画像

下図は、フライト試験に参加するF-22ラプターです。

F-22ラプター

170526-F-ZZ999-411 F-22 Flying Test Bed is tip of the spear for Raptor mission systems Two F-22 Raptors from the 411th Flight Test Squadron fly over Edwards Air Force Base, California. (Courtesy photo by Chad Bellay/Lockheed Martin)

図2-2 F-22ラプター

出典:EDWARDS AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

F-22フライング・テスト・ベッドの役割

F-22フライング・テスト・ベッドは、F-22ラプターに搭載されてい様々なセンサーと情報処理システムや機体制御のプログラムなど、ソフトウェアとハードウェアのバージョンアップや改善をする際に、実際の飛行条件での試験を行うことができます。

F-22ラプターの試験飛行部隊に開発したソフトウェアをリリースする前に、F-22フライング・テスト・ベッドで、開発中のソフトウェアをテストして問題点を確認することもできます。

また、ボーイング757をベースにしていることで、F-22ラプター相当のセンサーやシステムに加え、試験に必要な様々な設備とその開発者なども同上しての飛行試験が可能です。

F-22フライング・テスト・ベッドの特徴

F-22フライング・テスト・ベッドのミッション機器は、F-22フライング・テスト・ベッドの機体を飛ばすための飛行制御システムからは完全に分離されています。

このため、F-22フライング・テスト・ベッドは、飛行中にソフトウェアの変更が可能です。

ソフトウェアの変更が可能なことは、複数のプログラムをテストできるということです。

F-22フライング・テスト・ベッドによる効果

F-22フライング・テスト・ベッドを利用する効果は、次の通りです。

  • ソフトウェアのプロトタイプをいち早く(実機に搭載する前に)確認できる。
  • ソフトウェア開発のリスクを軽減することができる。(実機に搭載する前に問題があれば対策できる。)

この様に、F-22フライング・テスト・ベッドを運用することは、開発コストの削減とF-22ラプターの近代化改修の開発期間短縮につながります。

また、飛行していない場合には、F-22フライング・テスト・ベッドを地上での開発に利用することができます。

写真で見るF-22フライング・テスト・ベッド

F-22フライング・テスト・ベッドを写真を使い説明します。

下図は、F-22フライング・テスト・ベッドです。

  • 機首先端のグレーの部分が、F-22ラプターと同じ形状の機首です。
  • フライトデッキ(コクピット)の上部に、ラプターの主翼と同様のセンサーが接地されています。
F-22フライング・テスト・ベッド:全体

170503-F-JG201-001 F-22 Flying Test Bed is tip of the spear for Raptor mission systems Members of the F-22 Flying Test Bed team pose for a photo in front of the highly modified Boeing 757 May 3. The FTB routinely flies with real Raptors both at Edwards and Nellis Air Force Base, Nevada in order to gain an early look at F-22 mission software before the software is released to developmental flight test, mainly at Edwards. The FTB can fly up to 30 crewmembers. (U.S. Air Force photo by Ethan Wagner)

図3-1 F-22フライング・テスト・ベッド:全体

出典:EDWARDS AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています。)

下図は、F-22フライング・テスト・ベッドの機首部分を拡大した写真です。

  • 機首先端のグレーの部分が、F-22ラプターと同じ形状の機首です。
  • フライトデッキ(コクピット)の上部に、ラプターの主翼同様にセンサーが設置されています。
F-22フライング・テスト・ベッド:機首

170503-F-JG201-001 F-22 Flying Test Bed is tip of the spear for Raptor mission systems Members of the F-22 Flying Test Bed team pose for a photo in front of the highly modified Boeing 757 May 3. The FTB routinely flies with real Raptors both at Edwards and Nellis Air Force Base, Nevada in order to gain an early look at F-22 mission software before the software is released to developmental flight test, mainly at Edwards. The FTB can fly up to 30 crewmembers. (U.S. Air Force photo by Ethan Wagner)

図3-2 F-22フライング・テスト・ベッド:機首

出典:EDWARDS AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています。)

参考リンク

この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • Edwards AFB News : F-22 Flying Test Bed is tip of the spear for Raptor mission systems
スポンサーリンク

まとめ

フライング・テスト・ベッドは、旅客機の機首に戦闘機の機首を設置し、戦闘機のアビオニクスや様々なレーダーやセンサー、戦闘機に搭載する様々なシステムの飛行試験を行うことができる試験機です。

F-22ラプターに搭載されている様々なシステム開発では、開発したシステムのテスト、ハードウェアを組み合わせたテストに加え、実際の飛行状態での試験も必要です。

ハードウェアに変更が加えられた場合にも、変更部分のテスト、全体的なテスト、飛行状態でのテストが必要です。

ここでは、F-22フライング・テスト・ベッドについて、主に米国空軍のWebサイトの情報と写真を使い以下の項目で説明しました。

  • F-22ラプターとは
  • F-22フライング・テスト・ベッド
    • F-22フライング・テスト・ベッドの役割
    • F-22フライング・テスト・ベッドの特徴
    • F-22フライング・テスト・ベッドによる効果
  • 写真で見るF-22フライング・テスト・ベッド
  • 参考リンク
タイトルとURLをコピーしました