MQ-9リーパーのSkyTower II:クロスドメイン通信とネットワーク拡張

無人機

無人機の開発スピードは速く、新しい技術を導入し実運用に至るまでの開発期間が短くなっています。

また、無人機への新技術や新装備、あるいは、ソフトウェアのアップグレードも短期間でできるようになっています。

ここでは、マルチロール対応無人機MQ-9リーパーのクロスドメイン通信とネットワーク拡張を実現するSkyTower IIポッドの開発状況について、米国海軍のWebサイトの情報を主に説明します。

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MQ-9リーパー

MQ-9リーパー(Reaper)は、マルチロール(多用途)対応の遠隔操縦型無人機です。

MQ-9の「M」は、マルチーロール機のM、「Q」と「9」は遠隔操縦型の航空機システムの9番目であることを意味しています。

MQ-9リーパーは、主として情報収集に使われる他、広範囲に対応したセンサーと通信システムを備え長時間の飛行ができるため、偵察や攻撃にも対応できます。

下図は、MQ-9リーパー(Reaper)です。

MQ-9リーパー(Reaper)

090127-F-7383P-001 An MQ-9 Reaper, armed with GBU-12 Paveway II laser guided munitions and AGM-114 Hellfire missiles, piloted by Col. Lex Turner flies a combat mission over southern Afghanistan. (U.S. Air Force Photo / Lt. Col. Leslie Pratt)

図1 MQ-9リーパー(Reaper)

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

MQ-9リーパーの詳細は、以下の記事をご参照ください。

MQ-9リーパーのSkyTower IIポッド

2025年3月10日、NAVAIR Newsに海兵隊のMQ-9リーパーに搭載予定のSkyTower IIポッド開発の記事が公開されました。

SkyTower IIポッドとMQ-9リーパーのアップグレード

SkyTower IIポッドを搭載することで、

  • クロスドメイン通信能力の強化
  • 異種部隊間の通信をリンクする空中ネットワークの拡張

を実現します。

これにより、MQ-9リーパーは、様々な作戦任務支援のため、数多くの部隊との通信とデータ共有能力を提供可能になり、情報・監視・偵察(ISR)の作戦に役立ちます。

  • ISR:Intelligence, Surveillance, and Reconnaissance

MQ-9リーパーの搭載SkyTower IIポッド試験:初期電源投入

来年(2026年)の海兵隊での初期運用能力(IOC:initial operational capability)獲得に備え、米国海軍の試験飛行隊にはじめてSkyTower IIポッドが納められました。

2025年2月25日、SkyTower IIポッドをMQ-9リーパーに搭載し、初期電源投入試験(initial power on checks)が行われました。

下図は、MQ-9リーパーとSkyTower IIポッドの写真です。

  • 下図右下にあるのが、SkyTower IIポッドです。
MQ-9リーパーとSkyTower IIポッド

An MQ-9 Reaper is upgraded with SkyTower II Pod that will be deployed to Marine Corps’ squadron next year to enhance operational capability. (U.S. Navy photo)

図2 MQ-9リーパーとSkyTower IIポッド

出典:US NAVY(米国海軍)の画像(加工しています。)

MQ-9リーパーの搭載SkyTower IIポッド試験:電波暗室

2025年2月下旬、大型の電波暗室(anechoic chamber)で、フィット・チェック(fit check)といわれる試験が行われました。

はかせ
はかせ

fit checkとは、本格的な試験開始の前の事前確認試験のようです。

下図は、電波暗室に設置されたMQ-9リーパーの写真です。

電波暗室で試験中のMQ-9リーパー

A Marine Corps MQ-9A Reaper undergoes anechoic chamber testing Feb. 24 at Naval Air Station Patuxent River, Md. (U.S. Navy photo)

図3 電波暗室で試験中のMQ-9リーパー

出典:US NAVY(米国海軍)の画像

フィット・チェックでは、電源、冷却、通信・指揮・制御用の衛星リンクをMQ-9リーパーに供給しながら試験できることを確認しています。

今後数か月間、かけてSkyTower IIポッドを搭載したMQ-9リーパーの試験が実施されます。

なお、電波暗室での電磁波試験については、以下の記事をご参照ください。

参考リンク

この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • Marine Corps MQ-9 Reapers enhanced with advanced payload upgrade
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まとめ

無人機の開発スピードは速く、実運用に至るまでの開発期間が有人機に比べると短くなっています。

また、運用開始後、新技術や新装備、あるいは、ソフトウェアのアップグレードも短期間で実現されています。

ここでは、マルチロール対応無人機MQ-9リーパーのクロスドメイン通信とネットワーク拡張を実現するSkyTower IIポッドの開発状況について、米国海軍のWebサイトの情報から、以下の項目で説明しました。

  • MQ-9リーパー
  • MQ-9リーパーのSkyTower IIポッド
    • SkyTower IIポッドとMQ-9リーパーのアップグレード
    • MQ-9リーパーの搭載SkyTower IIポッド試験:初期電源投入
    • MQ-9リーパーの搭載SkyTower IIポッド試験:電波暗室
  • 参考リンク
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