航空機の音速超えで発生する衝撃波とベイパーコーンは別の現象

衝撃波とベイパーコーンの違い 航空機のテスト
出典:USAF(米国空軍)及びUS NAVY(米国海軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

航空機が音速(マッハ1)を超えると衝撃波が発生します。この衝撃波を画像として見る(可視化する)ためには、特殊な設備と条件も必要です。

一方で、WebサイトやSNSでは、航空機の周囲に白い雲(ベイパーコーン)がある写真を、音速超えや音の壁を突破した航空機の写真を見ることがあります。

そこで、衝撃波やベイパーについてGoogle先生などに聞いて調べてみました。

ここでは、衝撃波やベイパーコーンについて、写真を使い説明します。

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音速飛行する航空機と衝撃波

航空機が音速(マッハ1)を超えると衝撃波が発生します。

実際には、航空機の機体の速度がマッハ1に達する前に、翼の表面の一部の空気がマッハ1を超えることもあります。

音速の呼び方とマッハ数

音速は、秒速340(m/s)、時速1224(km/h)といわれますが、航空機の場合なら気温や高度で変わります。

音の速度(マッハ数)は、次のように分類されます。

  • 極超音速:マッハ5以上
  • 超音速:マッハ1.2~5
  • 遷音速:マッハ0.75~1.25
  • 亜音速:マッハ0.75

音が伝わる速度については以下の記事をご参照ください。

衝撃波とソニックブーム

衝撃波が発生すると地上で大きな音が聞こえる、あるいは、地上の建物のガラスが割れるといったことを聞いたことがありませんか?

地上で大きな音が聞こえるのは、ソニックブームとよばれる現象によります。

ここで、衝撃波とソニックブームについて簡単に説明します。

衝撃波とは、

  • 航空機が音速になると発生します。
  • 連続的に発生するというよりも、次々と発生するというイメージです。
  • 衝撃波を境に、温度、空気の圧力(密度)、空気の速度が急激に変わります。

ソニックブームとは、

  • 衝撃波により発生した大きな圧力(音)は、空気を伝わり地上に影響を与えます。
  • 例えば、航空機の先端を頂点とする衝撃波は、円錐状に広がり地上に伝わっていきます。

衝撃波とソニックブームの詳細は、以下の記事をご参照ください。

衝撃波の可視化例

衝撃波の可視化例をNASAのWebサイトの情報から説明します。

はかせ
はかせ

衝撃波について理論的なことを調べてみましたが、流体力学や圧縮性流体など技術的に十分理解できなかったので、写真を使いイメージを伝えられれば幸いです。

下図は、NASAによる衝撃波の可視化例です。

  • T-38タロンによる衝撃波の写真です。写真とはいっても、様々な画像処理により衝撃波を可視化した画像データです。
  • NASAの特殊なシュリーレン撮影技術(AirBOS:Airborne Background Oriented Schlieren Imaging)を使っています。
  • 山形の直線が衝撃波の波面になります。機首、空気取入口、主翼全縁、排気口後端などから衝撃波が発生しています。
衝撃波の例

airbos_f7_p5 : The National Aeronautics and Space Administration NASA explores the unknown in air and space, innovates for the benefit of humanity, and inspires the world through discovery.

図1 衝撃波の例

出典:NASAのWebサイトより

飛行する航空機とベイパーコーン

ベイパーコーン(vapor cone)とは、飛行する機体表面の一部が低圧になることで発生する円形の雲(水蒸気)のことです。

見た目が衝撃波の写真の様なイメージであるため、衝撃波や音速突破の写真と紹介されることもあるようです。

ベイパーコーンの写真を紹介します。

F-22ラプターのベイパーコーン

下図は、F-22ラプターのベイパーコーンの写真です。

  • 主翼両端の長く伸びる雲は飛行機雲です。
F-22のベイパーコーン

Going supersonic An F-22 Raptor executes a supersonic flyby over the flight deck of the aircraft carrier USS John C. Stennis June 22, 2009, during Northern Edge 2009, a joint exercise in Alaska focusing on detecting and tracking units at sea, in the air and on land. (U.S. Navy photo/Petty Officer 1st Class Ronald Dejarnett)

図2 F-22ラプターのベイパーコーン

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

F-35AライトニングIIのベイパーコーン

下図は、F-35AライトニングIIのベイパーコーンの写真です。

F-35AライトニングIIのベイパーコーン

Thunder over Cedar Creek Lake Capt. Kristin Wolfe, F-35A Demonstration Team pilot, performs the “High Speed Pass” during the Thunder over Cedar Creek Lake air show, July 4, 2020 at Cedar Creek Lake, Texas. The event was the first public performance for the demonstration team since their rebasing from Luke Air Force Base, Ariz., to Hill AFB, Utah. (U.S. Air Force photo by Capt. Kip Sumner)

図3 F-35AライトニングIIのベイパーコーン

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

F-16ファイティング・ファルコンのベイパーコーン

下図は、F-16ファイティング・ファルコンのベイパーコーンの写真です。

F-16ファイティング・ファルコンのベイパーコーン

The team’s F-16CM Fighting Falcon, affectionately known as the “Viper,” is a single-seat, multi-role fighter with the ability to switch between an air-to-ground and an air-to-air role at the touch of a button. With its lightweight frame and powerful General Electric engine generating 31,000 pounds of thrust, the F-16 can fly at speeds in excess of Mach 2.

図4 F-16ファイティング・ファルコンのベイパーコーン

出典:AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイトからの画像

F/A-18スーパーホーネットのベイパーコーン

下図は、F/A-18スーパーホーネットのベイパーコーンのベイパーコーンの写真です。

F/A-18スーパーホーネットのベイパーコーン

230618-N-PA221-1058 PACIFIC OCEAN (June 18, 2023) An F/A-18F Super Hornet from the “Fighting Redcocks” of Strike Fighter Squadron (VFA) 22 breaks the sound barrier during flight operations near the aircraft carrier USS Nimitz (CVN 68). Nimitz is underway conducting routine operations. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Kevin Tang)

図5 F/A-18スーパーホーネットのベイパーコーン

出典:US NAVY(米国海軍)のWebサイト<Home > RESOURCES > Photo Gallery>からの画像

B-1Bランサーのベイパーコーン

下図は、B-1Bランサーのベイパーコーンの写真です。

B-1Bランサーのベイパーコーン

011027-F-6833L-006 OPERATION ENDURING FREEDOM (AFIE) — A B-1B Lancer performs a low-level fly-by for troops deployed for Operation Enduring Freedom on Oct. 27, 2001. The B-1B’s three internal weapons bays can accommodate up to 84 Mk-82 general purpose bombs or Mk-62 naval mines, 30 CBU-87/89 cluster munitions or CBU-97 Sensor Fused Weapons. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Rebeca M. Luquin)

図6 B-1Bランサーのベイパーコーン

出典:AIR FORCE GLOBAL STRIKE COMMAND AFSTART-AIR(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

参考書籍:雲について

ベイパーコーンとは違いますが、飛行機雲を含め様々な雲についての本を紹介します。

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まとめ

航空機が音速(マッハ1)を超えると衝撃波が発生します。この衝撃波を画像として見る(可視化する)ためには、特殊な設備と条件も必要です。

一方で、WebサイトやSNSでは、航空機の周囲に白い雲(ベイパーコーン)がある写真を、音速超えや音の壁を突破した航空機の写真を見ることがあります。

ここでは、衝撃波やベイパーコーンについて、以下の項目で説明しました。

  • 音速飛行する航空機と衝撃波
    • 音速の呼び方とマッハ数
    • 衝撃波とソニックブーム
    • 衝撃波の可視化例
  • 飛行する航空機とベイパーコーン
    • F-22ラプターのベイパーコーン
    • F-35AライトニングIIのベイパーコーン
    • F-16ファイティング・ファルコンのベイパーコーン
    • F/A-18スーパーホーネットのベイパーコーン
    • B-1Bランサーのベイパーコーン
  • 参考書籍:雲について
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