B-21レイダーニュース:開発開始から現在まで

B-21レイダー・ニュース 最新の開発情報
出典:USAF(米国空軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

2023年、米国の戦略爆撃機は、B-52Hストラトフォートレス、可変翼のB-1Bランサー、ステルスで無尾翼のB-2スピリットの3機種があります。さらに最新型のB-21レイダーの開発が進められています。

戦略爆撃機近代化によりB-1Bランサー退役が始まっており、B-52HストラトフォートレスとB-21レイダーの2機種になるようです。

ここでは、現在開発中の無尾翼ステルス戦略爆撃機B-21レイダーについて、主に米国空軍Webサイトからの情報を元に説明します。

はかせ
はかせ

2022年12月の一般公開以降、新たな公式情報がない(見つからない)のですが、2023年11月10日、X(旧Twitter)にB-21レイダー初飛行のポスト(動画含む)が散見されます。

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B-21レイダーとは

B-21レイダーは、第6世代無尾翼のステルス戦略爆撃機です。

現在も開発中で、2022年12月に初めて一般公開されました。

2022年12月:B-21レイダー初の一般公開

Airpower redefined A B-21 Raider is unveiled at Northrop Grumman’s manufacturing facility on Air Force Plant 42 in Palmdale, Calif., Dec. 2, 2022. The B-21 is a long-range, highly survivable, penetrating-strike stealth bomber capable of delivering both conventional and nuclear munitions. (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Joshua M. Carroll)

図1 2022年12月:B-21レイダー初の一般公開

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

 

詳細は、以下の記事をご参照ください。

B-21レイダーの開発経緯

B-21レイダーの現在までの開発状況は以下の通りです。

2015年10月:技術・製造開発契約発注

2015年10月、米国空軍は、ノースロップ・グラマンにB-21の技術・製造開発契約を発注しました。

B-21プログラムにおけるノースロップ・グラマンのパートナーには、以下の会社が含まれます。

  • プラット&ホイットニー(Pratt & Whitney)社
  • ジャニッキ・インダストリーズ( Janicki Industries)社
  • コリンズ・エアロスペース(Collins Aerospace)社
  • GKNエアロスペース(GKN Aerospace)社
  • BAEシステムズ(BAE Systems)社
  • スピリット・エアロシステムズ(Spirit Aerosystems)社

2018年:ウェポン・システム・クリティカル・デザイン・レビュー

2018年、B-21プログラムは、設計の成熟度、安定性、リスクに関するプログラム全体の包括的評価であるウェポン・システム・クリティカル・デザイン・レビュー(weapon systems Critical Design Review)の実施に成功しました。

2019年:B-21の主要運用基地について発表

2019年、米国空軍は戦略的基地化プロセスを完了し、B-21の主要運用基地に望ましい場所として以下の空軍基地を発表しました。

  • エルズワース空軍基地(Ellsworth Air Force Base)
  • ホワイトマン空軍基地(Whiteman Air Force Base)
  • ダイス空軍基地(Dyess Air Force Base)

2021年:最初のB-21主要運用基地と正式訓練部隊所在地指名

国家環境政策法(National Environmental Policy Act)およびその他の規制プロセスで義務付けられている環境影響評価書のプロセス(Environmental Impact Statement process)を完了した後、2021年に米国空軍はエルスワース空軍基地(Ellsworth Air Force Base)を最初のB-21主要運用基地および正式訓練部隊の所在地として指名しました。

  • エドワーズ空軍基地(Edwards Air Force Base)の空軍試験センター(The Air Force Test Center)がB-21複合試験部隊(Combined Test Force)のホストとなります。
  • ティンカー空軍基地(Tinker Air Force Base)の空軍維持センター(the Air Force Sustainment Center)がデポ計画の拠点となります。

2022年4月:B-21レイダーの長納期品先行調達費提供

2022年4月、米国空軍は、B-21レイダー長納期品先行調達費として1億800万ドルをノースロップ・グラマン社に提供しました。

現在、B-21の試験機は、ノースロップ・グラマンとの技術・製造開発契約の下で製造されています。同じ製造ラインで、同じ工具、プロセス、技術者により量産機を製造されます。

B-21試験機は、構造的にもミッション・システム的にも、最も量産機に近い機体となっており、今後の飛行試験や量産移行にむけてB-21プログラムは適切に進められていると米国空軍は判断しているようです。

  • B-21飛行試験用1号機は、飛行に先立ち構造設計の検証と妥当性確認のための負荷(荷重)校正を始めています。この後、さらなる統合化と地上試験が行われ、プログラムのスケジュールと飛行準備へと進みます。
  • 2022FY(米会計年度)で、B-21の最初の主要作戦基地であるエルズワース空軍基地(Ellsworth Air Force Base)で、B-21を立ち上げるための5つの新しい軍事施設建設プロジェクトに資金が提供されました。80年の歴史を持つ通常爆撃機基地では初となる低視認性整備格納庫(a low observable maintenance hangar)の建設がすでに進められています。
  • 環境影響評価は、B-21全機を着陸させることができる第2、第3の主要作戦基地に関する最終的な決定に資するため、2022年中に開始される予定です。
  • 第2、第3のB-21主要作戦基地は、ホワイトマン空軍基地(Whiteman AFB)とダイス空軍基地(Dyess AFB)となっています。

2022年5月:ロード・キャリブレーション・テスト

2022年5月、B-21試験機のロード・キャリブレーション・テストは順調そうです。

2022年12月:B-21レイダー一般公開

2022年12月、B-21レイダーが初めて一般公開されました。

  • 一般公開されたB-21レイダーは、現在開発中の6機のうちの1機です。
  • 機体形状はB-2スピリットをリファインした感じです中身は全くの別物のようです。
  • ノースロップ・グラマン社のWebサイトの記事では、「第6世代(Sixth Generation)」として紹介されており、第5世代の代表的なステルス機F-22ラプターよりもさらなる性能向上が図られているようです。
  • B-21レイダーの設計・開発では、オープン・システム・アーキテクチャで設計され、フル・デジタル・モデルが使われているとのことなので、製造を含めてこれからのモノづくりのコンセプトが実際に適用されていると考えています。

2023年9月:B-21レイダー地上でのエンジンテスト開始

Northrop Grumman社の公式X(旧Twitter)に、2023年9月12日、B-21レイダーの地上試験プログラムの1つであるエンジン試験が開始された写真が公開されました。

2023年11月:B-21レイダー初飛行

X(旧Twitter)には、2023年11月10日にB-21レイダー初飛行のポストが動画と共にポストされています。

機体形状は、下図のコンセプト・イラストと似ています。

B-21レイダー:コンセプトイラスト

B-21 Raider

図2 B-21レイダー:コンセプトイラスト

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像


 

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