映画トップガン2、私は何となく映画館には行けなくてDVDで見ました。
映画の中では初代トップガンのF-14トムキャットも出てきましたが、F/A-18スーパーホーネットの映像はクライマックス以外もなかなかの迫力で大満足でした。
空母に搭載されているカタパルトは、30トン(30,000kg)超の艦載機を約100mで一気に加速させて発艦させています。パイロットにとっては、2秒ほどのわずかな時間で、停止した状態から空中に放り出されるようなイメージです。
このカタパルトによる発艦は、高校物理の等加速度運動と考えられます。
ここでは、試験勉強以外にも学校の勉強が役立つ一例にもなるかと思い、高校物理の等加速度運動をカタパルト発艦に当てはめて、具体的な物理量(質量や速度など)について説明します。
空母からのカタパルト発艦のイメージ
ここでは、空母ニミッツ(USS Nimitz CVN 68)からのカタパルト発艦について、映画トップガン2代目の艦載機F/A-18スーパーホーネットの写真で説明します。
空母のカタパルト発艦の詳細は、以下の記事をご参照ください。
下図は、F/A-18スーパーホーネットが空母からカタパルト発艦時の写真です。
- 左上:カタパルトのシャトルに固定され発艦する直前
- 右上:カタパルトによる加速
- 左下:カタパルトによる射出から自力飛行へ
- 右下:空母から離艦
以下、詳細を説明します。
空母からの発艦の写真は、1基のF/A-18スーパーホーネットが発艦する連続した写真ではありませんのでご注意ください。
図1 空母のカタパルト発艦のイメージ
引用先:US NAVY(米国海軍)のWebサイト<Home > Resources > Photo Gallery>から(加工しています)。
カタパルトのシャトルに固定され発艦する直前
下図は、F/A-18スーパーホーネットがカタパルトにセットされ、まさに、カタパルトにより発艦する直前の写真です。
- F/A-18スーパーホーネットの脚は短い状態で固定されます。
- 前脚がカタパルトのシャトルに固定されます。
- 黄色の服の人の指示で発艦します。
- 空母はニミッツ:USS Nimitz CVN 68
図2-1 空母のカタパルト発艦:発艦
引用先:US NAVY(米国海軍)のWebサイト<Home > Resources > Photo Gallery>から。
カタパルトによる加速
下図は、カタパルトで加速中のF/A-18スーパーホーネットの写真です。
- 白く見えているのは、カタパルトの動力となっている蒸気です。
- 空母はジョージ・H・W・ブッシュ:USS George H.W. Bush CVN 77
図2-2 空母のカタパルト発艦:カタパルトによる加速
引用先:US NAVY(米国海軍)のWebサイト<Home > Resources > Photo Gallery>から。
カタパルトによる射出から自力飛行へ
下図は、カタパルトで射出されたF/A-18スーパーホーネットの写真です。
- 最大離陸重量約30トン(29,932 kg)をわずか100m程で発艦させる蒸気カタパルトのパワーとこれを繰り返せる設計や構造、そして運用できるのはすごいですね。
- 空母はニミッツ:USS Nimitz CVN 68
図2-3 空母のカタパルト発艦:カタパルトから自力飛行へ
引用先:US NAVY(米国海軍)のWebサイト<Home > Resources > Photo Gallery>から。
空母から離艦
下図は、離艦するF/A-18スーパーホーネットの写真です。
- カタパルトでの加速は迫力満点ですが、それでも、離艦時は、ふわっとというかふらふらというか頼りない感じで、その後、自機のパワーで力強く加速していくイメージです。
- 空母はジェラルド・R・フォード:USS Gerald R. Ford CVN 78
図2-4 空母のカタパルト発艦:空母から離艦
引用先:US NAVY(米国海軍)のWebサイト<Home > Resources > Photo Gallery>から。
カタパルトによる発艦(射出)を等加速度運動と考える
ここまで写真でみてきた空母のカタパルトによる艦載機の発艦について、高校物理の等加速度運動として考えてみます。
まずは、等加速度運動について説明し、実際のカタパルト発艦を物理量(質量や速度)で見てみます。
高校物理の等加速度運動
等加速度運動の身近な例には、次の運動があります。
- 物を落とした時の自由落下(重力により加速する運動)
- ホームランなどの放物線を描く運動
高校物理の等加速度運動の式について説明します。
下図は、等加速度直線運動のイメージです。
- 物体(下図の丸)が加速度(a)で、平面上を直線的に移動しています。
- 物体と平面との摩擦は無しとします。
- スタート地点で、時刻:t=0、速度v:v=v0、とします。
- t秒後の地点で、時刻:t=t、速度v:v=v、とします。
この時、以下の式が成り立ちます。
- 時刻tでの速度:
v = v0 + a t (式1)
- 時刻tでの移動距離(変位):
x = v0 t + (1/2) a t2 (式2)
- vとxとの関係:
v2 – v02 = 2 a s (式3)
図3 等加速度直線運動のイメージ
試験勉強の時は、まずは、式を覚える。次に、式の当てはめ方(使い方)を練習したような覚えがあります。
等加速度運動の式を使ってみる
空母のカタパルトによる射出における物理量(質量や速度)の正確な値は分かりませんが、以下の物理量を持つ等加速度運動と仮定して、カタパルトによる加速度を計算してみます。
なお、物理量は、Google先生に聞いた結果を参考にしつつ、値を丸めています。
- 艦載機の重量約30トン(30,000 kg)
- 停止(速度:0 km/h)から射出(速度:260 km/h)
- カタパルトによる加速時間:2.7 秒
(式1)において、V0 = 0 なので、
v = a t (式1-a)
(式1-a)を変形すると、
a = v / t (式1-b)
(式1-b)に、
射出時の速度:v = 260 km/h
カタパルトによる射出時間:t = 2.7 秒
を代入すると、
a = 260 / 2.7 = 96 (km/h/s) = 26.7 (m/s2)
となります。
(式2)で結果を確認します。
(式2)に、V0 = 0、t = 2.7、(式1)で求めた a = 26.7 を代入して計算すると、
x = (1/2) 26.7 2.72 = 97.3 m(式2-a)
となり、空母のカタパルトの長さは約100mなので、近い数字となりました。
ちなみに、加速度26.7 (m/s2)は、約2.7Gとなります。
発艦時にパイロットは、重力の約2.7倍の力を受けていることになります。
計算サイトの紹介
数式を意識せずに、等加速度運動における加速度がどの程度が調べたい場合には、以下のWebサイトの「物理公式集>運動」の「等加速度運動(加速度を計算)」が、ブラウザで計算できて便利です。
カシオ計算機株式会社による、「keisanサービス(生活や実務に役立つ計算サイト)」です。
私は三角関数の計算をしたい時によく使っています。
まとめ
空母に搭載されているカタパルトは、30トン(30,000kg)超の艦載機を約100mで一気に加速させて発艦させています。
パイロットにとっては、2秒ほどのわずかな時間で、停止した状態から空中に放り出されるようなイメージです。
ここでは、高校物理の等加速度運動をカタパルト発艦に当てはめて、具体的な物理量(質量や速度など)について以下の項目で説明しました。
- 空母からのカタパルト発艦のイメージ
- カタパルトのシャトルに固定され発艦する直前
- カタパルトによる加速
- カタパルトによる射出から自力飛行へ
- 空母から離艦
- カタパルトによる発艦(射出)を等加速度運動と考える
- 高校物理の等加速度運動
- 等加速度運動の式を使ってみる
- 計算サイトの紹介