EA-37Bコンパス・コール(COMPASS CALL)は、Gulfstream社製G550の機体をベースにした電子戦機です。
米国空軍のEC-130Hコンパス・コールの後継機であり、2024年に初号機が米国空軍に納入されています。
ここでは、EA-37Bコンパス・コールについて、主に米国空軍のWebサイトからの情報を元に写真で説明します。
EA-37Bコンパス・コールとは
EA-37Bコンパス・コールは、Gulfstream社製のビジネスジェット機G550の機体をベースにした電子戦機です。
電子攻撃(Electronic Attack)に必要なシステムを備えるだけでなく、特徴的な外観から、ベース機のG550に大幅な改修が加えられていることがうかがえます。
- ビジネスジェットの面影はありますが、機体側面が垂直な平面となっている特徴のある外観です。
図1 EA-37コンパス・コール(COMPASS CALL)
出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)
EA-37Bコンパス・コールは、電子攻撃(Electronic Attack)と敵の電子攻撃からの防御能力(offensive counter-information)を備えています。
EA-37Bコンパス・コールの乗員と分担
EA-37Bコンパス・コールの乗員は、パイロットと副操縦士の2名の他、最大7名、合計9名です。
他の7名は、貨物/ミッション・コンパートメントに常設されたEAミッション機器を扱います。
ミッション・クルーは、以下の通りです。
- ミッション・クルー指揮官(電子戦担当幹部)
- ウェポン・システム担当(電子戦担当幹部)
- ミッション・クルー・スーパーバイザー(経験豊富な暗号言語学者)
- 分析オペレーター(言語学者)
- アクイジション・オペレーター(データ収集者?)
- 航空機整備技術者
SWAORD-Aによる迅速なアップデート
EA-37Bコンパス・コールは、SWORD-Aにより設計されています。
- System-Wide Open Reconfigurable Dynamic Architecture
電子戦に使われる技術は日進月歩であり、EA-37Bコンパス・コールは、最新の技術に対応していくためのアップグレードが不可欠です。
SWORD-Aによる設計により、EA-37Bコンパス・コールは、新機能の採用や新たな技術や戦術などへの対応を、迅速なアップデートにより実現しています。
アップデートによる機能向上には、次のようなものがあります。
- 例えば、空中や地上での作戦行動間において、通信、早期警戒/補足レーダー、ナビゲーション・システムを効果的に妨害する機能
- 衛星通信を含む航空機の通信能力やデータリンク機能
写真で見るEA-37Bコンパス・コール
EA-37Bコンパス・コールの写真は、USAF(米国空軍)のWebサイトでもあまりないのですが、写真を使い説明します。
機体形状
下図は、正面からの写真です。
- 胴体側面が平面なため、正面からみると胴体断面が四角形であることが分かります。
図2-1 EA-37コンパス・コール:正面
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、再掲ですがAir Combat Command(米国空軍)のEA-37Bコンパス・コール初号機の写真です。
- フラットな機体側面が特徴的です。
図2-2 EA-37コンパス・コール:下面
出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)
下図は、前方からの写真です。
- 特徴的なフラットな平面に加え、コクピット前の突起、機体上面や下面から飛び出ているアンテナやセンサー類を確認できます。
- 垂直尾翼の最上部もGulfstream社製G550との違いです。
図2-3 EA-37コンパス・コール:前方(その1)
出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)
美しい虹との1枚です。
図2-3 EA-37コンパス・コール:前方(その2)
出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)
下図は、側方からの写真です。
- Gulfstream社製G550では旅客機の様な窓になっている機体側面が、機種からフラットな形状になっていることが分かります。
- 垂直尾翼上部もレーダーやセンサー類が搭載されているようです。
図2-4 EA-37コンパス・コール:側方
出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)
EC-37Bとは
2023年10月、EC-37BがEA-37Bに再指定(redesignate)されています。
- ECからEAへの変更は任務をより明確にするためです。
図3 EC-37からEA-37に再指定
出典:OFFUTT AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています)
シンガポール空軍の早期警戒機
下図は、シンガポール空軍(Republic of Singapore Air Force)のG550早期警戒機(G550-Airborne Early Warning)の写真です。
図4 G550-Airborne Early Warning(シンガポール空軍)
出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)
EA-37Bコンパス・コールの歴史
EA-37Bコンパス・コールの歴史について説明します。
2018年10月:EC-130H後継機に決定
2018年10月、EC-130Hコンパス・コールの後継機に、EA-37Bコンパス・コールに決まる。
下図は、EC-130Hコンパス・コールの写真です。
- EC-130Hコンパス・コールは、戦術輸送機C-130ハーキュリーズをベースにしています。
- 電子戦をイメージする付属物を確認できます。
図5 EC-130Hコンパス・コール
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
2024年8月:初号機納入
- 2号機は、2024年末までに納入予定です。
- 初期運用能力(Initial operating capability)の獲得は、2026年予定です。
EA-37Bコンパス・コールの諸元
AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイトの情報からEA-37Bコンパス・コールの主要諸元を下表に示します。
全長 | 29.4 m |
---|---|
全高 | 7.9 m |
全幅 | 28.5 m |
エンジン |
|
重量 | 21,908 kg |
最大離陸重量 | 41,276 kg |
速度 | 1,003 km/h(マッハ0.82) |
高度 | 13,700 m |
航続距離 | 7,040 km |
燃料搭載容量 | 18,733 kg |
乗員 | 2名(パイロット、副操縦士)
ミッションクルー最大7名 |
参考リンク
この記事は、写真は主に以下のWebサイトの情報をまとめています。
英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。
- AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイト
まとめ
EA-37Bコンパス・コール(COMPASS CALL)は、Gulfstream社製G550の機体をベースにした電子戦機です。
米国空軍のEC-130Hコンパス・コールの後継機であり、2024年に初号機が米国空軍に納入されています。
ここでは、EA-37Bコンパス・コールについて、主に米国空軍のWebサイトからの情報を元に写真を使い、以下の項目で説明しました。
- EA-37Bコンパス・コールとは
- EA-37Bコンパス・コールの乗員と分担
- SWAORD-Aによる迅速なアップデート
- 写真で見るEA-37Bコンパス・コール
- 機体形状
- EC-37Bとは
- シンガポール空軍の早期警戒機
- EA-37Bコンパス・コールの歴史
- 2018年10月:EC-130H後継機に
- 2024年8月:初号機納入
- EA-37Bコンパス・コールの諸元
- 参考リンク