EA-37Bコンパス・コール:ビジネスジェットベースの電子戦機

EA-37Bコンパスコール 電子戦機
出典:USAF(米国空軍)のWebサイトからの画像(加工しています)

EA-37Bコンパス・コール(COMPASS CALL)は、Gulfstream社製G550の機体をベースにした電子戦機です。

米国空軍のEC-130Hコンパス・コールの後継機であり、2024年に初号機が米国空軍に納入されています。

ここでは、EA-37Bコンパス・コールについて、主に米国空軍のWebサイトからの情報を元に写真で説明します。

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EA-37Bコンパス・コールとは

EA-37Bコンパス・コールは、Gulfstream社製のビジネスジェット機G550の機体をベースにした電子戦機です。

電子攻撃(Electronic Attack)に必要なシステムを備えるだけでなく、特徴的な外観から、ベース機のG550に大幅な改修が加えられていることがうかがえます。

  • ビジネスジェットの面影はありますが、機体側面が垂直な平面となっている特徴のある外観です。
EA-37コンパス・コール(COMPASS CALL)

First ACC EA-37B delivered to Davis-Monthan AFB Air Combat Command’s first EA-37B Compass Call arrives overhead at Davis-Monthan AFB, Arizona, on Aug. 23, 2024. The aircraft will be assigned to the 55th Electronic Combat Group, flown by the 43rd Electronic Combat Squadron and maintained by the Contractor Logistics Support Aircraft Maintenance team at Davis-Monthan AFB. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Paige Weldon)

図1 EA-37コンパス・コール(COMPASS CALL)

出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)

EA-37Bコンパス・コールは、電子攻撃(Electronic Attack)と敵の電子攻撃からの防御能力(offensive counter-information)を備えています。

EA-37Bコンパス・コールの乗員と分担

EA-37Bコンパス・コールの乗員は、パイロットと副操縦士の2名の他、最大7名、合計9名です。

他の7名は、貨物/ミッション・コンパートメントに常設されたEAミッション機器を扱います。

ミッション・クルーは、以下の通りです。

  • ミッション・クルー指揮官(電子戦担当幹部)
  • ウェポン・システム担当(電子戦担当幹部)
  • ミッション・クルー・スーパーバイザー(経験豊富な暗号言語学者)
  • 分析オペレーター(言語学者)
  • アクイジション・オペレーター(データ収集者?)
  • 航空機整備技術者

SWAORD-Aによる迅速なアップデート

EA-37Bコンパス・コールは、SWORD-Aにより設計されています。

  • System-Wide Open Reconfigurable Dynamic Architecture

電子戦に使われる技術は日進月歩であり、EA-37Bコンパス・コールは、最新の技術に対応していくためのアップグレードが不可欠です。

SWORD-Aによる設計により、EA-37Bコンパス・コールは、新機能の採用や新たな技術や戦術などへの対応を、迅速なアップデートにより実現しています。

アップデートによる機能向上には、次のようなものがあります。

  • 例えば、空中や地上での作戦行動間において、通信、早期警戒/補足レーダー、ナビゲーション・システムを効果的に妨害する機能
  • 衛星通信を含む航空機の通信能力やデータリンク機能

写真で見るEA-37Bコンパス・コール

EA-37Bコンパス・コールの写真は、USAF(米国空軍)のWebサイトでもあまりないのですが、写真を使い説明します。

機体形状

下図は、再掲ですがAir Combat Command(米国空軍)のEA-37Bコンパス・コール初号機の写真です。

  • フラットな機体側面が特徴的です。
A-37コンパス・コール(COMPASS CALL)(その1)

First ACC EA-37B delivered to Davis-Monthan AFB Air Combat Command’s first EA-37B Compass Call arrives overhead at Davis-Monthan AFB, Arizona, on Aug. 23, 2024. The aircraft will be assigned to the 55th Electronic Combat Group, flown by the 43rd Electronic Combat Squadron and maintained by the Contractor Logistics Support Aircraft Maintenance team at Davis-Monthan AFB. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Paige Weldon)

図2 EA-37コンパス・コール(COMPASS CALL)(その1)

出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)

下図は、前方からの写真です。

  • 特徴的なフラットな平面に加え、コクピット前の突起、機体上面や下面から飛び出ているアンテナやセンサー類を確認できます。
  • 垂直尾翼の最上部もGulfstream社製G550との違いです。
EA-37コンパス・コール(COMPASS CALL)(その2)

First ACC EA-37B delivered to Davis-Monthan AFB Leaders from the 55th Wing, 55th Electronic Combat Group, and 43rd Electronic Combat Squadron stand ready to receive Air Combat Command’s first EA-37B Compass Call aircraft during a delivery ceremony at Davis-Monthan AFB, Arizona, on Aug. 23, 2024. The EA-37B is a wide-area airborne electromagnetic attack weapon system using a heavily modified version of the Gulfstream G550 airframe. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Paige Weldon)

図2 EA-37コンパス・コール(COMPASS CALL)(その2)

出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)

下図は、側方からの写真です。

  • Gulfstream社製G550では旅客機の様な窓になっている機体側面が、機種からフラットな形状になっていることが分かります。
  • 垂直尾翼上部もレーダーやセンサー類が搭載されているようです。
EA-37コンパス・コール(COMPASS CALL)(その3)

First ACC EA-37B delivered to Davis-Monthan AFB Air Combat Command’s first EA-37B Compass Call, aircraft 19-5591, is delivered at Davis-Monthan AFB, Arizona, on Aug. 23, 2024. The aircraft sustains joint force military advantage in the electromagnetic battlespace and builds a more lethal force by modernizing electromagnetic attack capabilities to deny peer competitors’ tactical networks and information ecosystems. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Paige Weldon)

図2 EA-37コンパス・コール(COMPASS CALL)(その3)

出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)

EC-37Bとは

2023年10月、EC-37BがEA-37Bに再指定(redesignate)されています。

  • ECからEAへの変更は任務をより明確にするためです。
EC-37からEA-37に再指定

EA-37B aircraft Air Combat Command’s EC-37B has been redesignated to become the EA-37B effective October 27, 2023. The EA-37B aircraft designation was selected to better identify the platform’s mission of finding, attacking and destroying enemy land or sea targets.

図3 EC-37からEA-37に再指定

出典:OFFUTT AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています)

シンガポール空軍の早期警戒機

下図は、シンガポール空軍(Republic of Singapore Air Force)のG550早期警戒機(G550-Airborne Early Warning)の写真です。

G550-Airborne Early Warning(シンガポール空軍)

Republic of Singapore Air Force deploys to Guam A Republic of Singapore Air Force G550 Airborne Early Warning aircraft taxies off the runway after landing for a deployment on Andersen Air Force Base, Guam, May 24, 2021. The RSAF and United States Air Force frequently train together to enhance interoperability in bilateral and multi-lateral exercises such as Exercise Commando Sling, Exercise Red Flag and Exercise Cope Tiger. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Michael S. Murphy)

図4 G550-Airborne Early Warning(シンガポール空軍)

出典:DAVIS-MONTHAN AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > Media > Photos>からの画像(加工しています)

EA-37Bコンパス・コールの歴史

EA-37Bコンパス・コールの歴史について説明します。

2018年10月:EC-130H後継機に決定

2018年10月、EC-130Hコンパス・コールの後継機に、EA-37Bコンパス・コールに決まる。

下図は、EC-130Hコンパス・コールの写真です。

  • EC-130Hコンパス・コールは、戦術輸送機C-130ハーキュリーズをベースにしています。
  • 電子戦をイメージする付属物を確認できます。
EC-130Hコンパス・コール

EC-130H A U.S. Air Force EC-130H Compass Call lands at Davis-Monthan Air Force Base, Arizona, August 31, 2021. The Compass Call system employs offensive counter-information and electronic attack capabilities in support of U.S. and Coalition tactical air, surface, and special operations forces. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Alex Miller)

図5 EC-130Hコンパス・コール

2024年8月:初号機納入

  • 2号機は、2024年末までに納入予定です。
  • 初期運用能力(Initial operating capability)の獲得は、2026年予定です。

EA-37Bコンパス・コールの諸元

AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイトの情報からEA-37Bコンパス・コールの主要諸元を下表に示します。

全長 29.4 m
全高 7.9 m
全幅 28.5 m
エンジン
  • ロールスロイス製BR700 710 C4 11 7ターボファンエンジン 2基
  • 推力:6,978 kg (1基当たり)
重量 21,908 kg
最大離陸重量 41,276 kg
速度 1,003 km/h(マッハ0.82)
高度 13,700 m
航続距離 7,040 km
燃料搭載容量 18,733 kg
乗員 2名(パイロット、副操縦士)

ミッションクルー最大7名

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参考リンク

この記事は、写真は主に以下のWebサイトの情報をまとめています。

英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報は、以下の情報をご参照ください。

  • AIR COMBAT COMMAND(米国空軍)のWebサイト

まとめ

EA-37Bコンパス・コール(COMPASS CALL)は、Gulfstream社製G550の機体をベースにした電子戦機です。

米国空軍のEC-130Hコンパス・コールの後継機であり、2024年に初号機が米国空軍に納入されています。

ここでは、EA-37Bコンパス・コールについて、主に米国空軍のWebサイトからの情報を元に写真を使い、以下の項目で説明しました。

  • EA-37Bコンパス・コールとは
    • EA-37Bコンパス・コールの乗員と分担
    • SWAORD-Aによる迅速なアップデート
  • 写真で見るEA-37Bコンパス・コール
    • 機体形状
    • EC-37Bとは
    • シンガポール空軍の早期警戒機
  • EA-37Bコンパス・コールの歴史
    • 2018年10月:EC-130H後継機に
    • 2024年8月:初号機納入
  • EA-37Bコンパス・コールの諸元
  • 参考リンク
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